文化 高野山の伝統文化3

日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし

◆御斎(おとき)について
今回も高野山の伝統文化として引き続き御斎にまつわる内容をお話ししてまいります。
さて、前回は僧侶の立ち居振舞いのひとつ「足捌(あしさばき)」について説明しましたが、御斎にはまだまだたくさん見どころが存在しているので紹介させていただきます。
招待客がすべてお揃いになるまでは、前回お話しした控え室への案内とお茶出しが繰り返し行われます。また頃合いを見て、亭主(主催者)は控室まで赴いて足捌きにつづき今度は「衣紋繕(えもんつくろ)い」という所作を行って、招待客へ挨拶をします。さて、この「衣紋繕い」とはどのような動作かといえば、高野山の法衣は元来、麻または木綿が基本だったようで、衣の袖のシワ伸ばしをして、威儀を整えた上で相手に挨拶をする敬意を表す動作をいいます。
余談ですが、京都では衣が絹であったためか、この「衣紋繕い」という動作を用いないことになっているのですが、大戦中・戦後の時期に京都では僧侶が還俗し不在になる寺院があいつぎ高野山の僧侶が住持することが多々あったようで、それ以降というもの京都近辺の寺院に於いても、この所作が行われている寺院もあるようです。そのため京都では本来用いない習いである、と強く警鐘を鳴らしておられる大徳もみかけます。
次回は御斎にまつわる僧侶の所作などをご紹介する予定です。
つづく

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