くらし 町長室から No.96


総務省統計局の小売物価統計調査によると、本年4月の鳥取市の米5kgの値段は5,162円で各主要都市小売価格の平均より529円高いという結果でした。60kg換算すると約61,944円。農家の懐に入る額は農協が示す概算金で決まり、令和6年産米ではコシヒカリ1等米60kg当たり17,600円でした。今回のコメ騒動が将来の米価に悪影響を及ぼさないか心配するのは私だけではないでしょう。価格の変動に一喜一憂することなく、長期的視点に立った、主食であるコメに対する消費者と生産者の相互理解が重要です。
三菱総研のレポート「令和のコメ騒動(6)備蓄米放出後の最重要課題」では、令和4年・5年産米の2か年合計65万tの供給不足が価格高騰の主原因だと報告してます。その上で、5月までに放出したとされる合計60万tは需給バランス均衡のための放出だったが、6月10日に追加した20万tは意味が全く違い、市場から供給過剰と受け止められると高い価格で流通する令和6年産米が小売り用から業務用に流れ、コメ価格の低下が進む恐れを指摘しています。そして、米の増産によって市場供給量が膨張し価格が低下した場合の対策案の提示が必要だとまとめています。
コメ約65gが茶碗一杯のご飯になります。ですから、60kg1俵から計算上923杯、昨年の概算金17,600円から割り戻すと、茶碗一杯19円が生産者の収入になります。茶碗一杯には約3,250粒のコメが必要で、これはイネ約2株分に相当するといわれています。
今回のコメ騒動が、消費者と生産者の食料を通じた相互理解に繋がってほしいものです。

南部町長 陶山清孝