健康 雲南病院だより

■ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸がんワクチン)キャッチアップ接種の公費助成の期限が間近です
小児科診療科部長 樋口 強(ひぐちつよし)

子宮頸がんは、子宮の入り口に発生します。20歳代から40歳代までで罹患率が高くなります。ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)が主な原因です。ありふれたウイルスで、海外の報告では異性と性経験のある女性の84・6%が一度は感染すると推計されています。免疫で自然に排除されることが多いのですが、一部のウイルスは定着し、がんを引き起こします。ワクチンでの予防、検診での早期発見が重要です。

◯日本の傾向は世界情勢から外れている
ワクチン接種が普及した国では子宮頸がんが減っています。一方、日本ではワクチン接種率も検診受診率も非常に低く、子宮頸がんにより亡くなる人が増えています。若くして亡くなったり、子宮を失ったりする人を減らすべく、早急な対応が必要とされています。定期接種は小学6年生から高校1年生までの間に実施されていますが、今なら、推奨が中断していた時期に接種されていなかった女性も公費での接種が可能です。

◯副反応はどうでしょうか?
平成25年に接種が定期化されてから、痛みや運動障害、記憶障害など多様な症状の報告がありました。しかしこういった症状は、接種しない人でも生じています。国内外の多くの調査・研究から、重篤な有害事象は接種しない人と比べ多くないことが示されています。接種による有効性が、副反応のリスクを上回ると認められています。人により、接種後の痛みや体調不良を生じることはありえますので、まずは接種する機関でご相談ください。

◆期限付きのキャッチアップ接種(公費)対象者
◯平成9年度~平成20年度生まれの女性
3月31日までに、1回目を接種していれば、必要な計3回の接種は公費で受けられます。
雲南市立病院で接種できます。予約は保健推進課(【電話】0854-47-7510)にご連絡ください。

◆日本人女性の子宮頸がんに関する統計など
・年間で約3,000人が亡くなっている
・年間で1万人が新たに診断されている
・30~40代が罹患のピーク
・子宮を失うなどで妊娠できなくなる場合がある