- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県邑南町
- 広報紙名 : 広報おおなん 令和7年3月号
Eerolla on asiaa
フィンランド出身国際交流員による、フィンランドや邑南町の話
■第18回「フィンランドの歴史(1)」~フィンランドとスウェーデン~
▽5つの北欧国の歴史
フィンランドの歴史は隣国のスウェーデンとロシアの歴史と深く絡まっています。今回と次回の記事でその関係について短く話したいと思います。
スウェーデンは北欧国(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークとアイスランド)の中で国土が一番広く、人口が一番多い国です。フィンランドはスウェーデンの統治下(当時スウェーデン帝国)にあったのは約1300年代から1809年に起こったフィンランド戦争までです(この戦争でロシアがフィンランドを奪い取りました)。
元々国家として存在しなかったフィンランドはスウェーデン帝国の遥か東の地域に見られ、本スウェーデンから外国とも言われたりしました。逆にフィンランドは、スウェーデンのようにヨーロッパ規模の帝国の時代は経験したことがありません。
フィンランドはスウェーデンからキリスト教、教育、行政、工業、食文化(ミートボール、シナモンロール、生サーモンなど)などという幅広い影響を受けました。スウェーデンから来た移民が話したスウェーデン語の影響はまず教育と行政に使われた唯一の公用語になりました。しかし、地域の本国人のほとんどはフィンランド語を話しました。大まかに言うとフィンランドとスウェーデンの間に戦争のような紛争が起きたことはなく、割と平穏な共存の数百年でした。
▽同じではないスウェーデンとの違い
スウェーデン系フィンランド人はマイノリティグループですが、社会的地位は割と高いです。少数派言語集団として母語を使える権利がよく守られています。:公用語が2つあり、スウェーデン語は小学6年生から高校2年生まで必須科目です。スウェーデン語由来の外来語は、フィンランド語の中に4000語以上という、非常に高い数字を示しています。接客も2つの公用語で提供しなければなりませんが、スウェーデン語が話せない店、地域や機関が増えていくのが事実ですし、英語が代替になっていく傾向も見られます。
現在の隣国同士フィンランドとスウェーデンの関係はどうでしょうか?フィンランド人はスウェーデン人に見習い、スウェーデンが先でフィンランドが次いで来る場合がよくありました。福祉国家もそうですが、長い歴史を誇りにしているスウェーデンに比べてフィンランドは1900年代の半ばまで貧しい国で福祉国家になったのは早かったです。社会のあらゆる分野で協力があり、スウェーデンもフィンランドをポジティブに見ています。
しかし、フィンランドは兄を睨(にら)んでいる弟のような気持ちで、スウェーデンを勝ちたいという精神は特にスポーツでよく見られ、対スウェーデンのゲームは緊張感が高まります。「愛する友、愛する敵」は特にアイスホッケーに言われ、多くのフィンランド選手の気持ちを表していると認められています。