- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県津山市
- 広報紙名 : 広報津山 令和7年8月号
■旧苅田家住宅のなが~い軒庇
暑い時期、日陰が恋しい季節になりました。歴史的な長い軒庇(のきひさし)が見られる「旧苅田家住宅」を紹介します。
国の重要文化財「旧苅田家住宅」は、城東重要伝統的建造物群保存地区に位置し、代々「諸白(もろはく)」の商号で知られる酒造業を営んでいた建物です。
主屋は、宝暦2年(1752)の建築と伝わり、間口は14間(約28メートル)あり、旧城下町では最大規模の町家です。一般的な町家の間口は4間半程度であることから、その繁栄ぶりが伺えます。
城東地区の町家は、建物の表側を出雲街道に面したぎりぎりの場所に建てるのが通例とされていたため、1階の軒庇の位置が隣同士でよくそろい、結果的に「庇が長く連続する景観」が生まれています。旧苅田家住宅では、西隣の「城下小宿糀こうじや」部分と合わせて、城東地区最大の約55メートルの軒庇が残っています。
津山地域の商店を紹介する明治22年(1889)の「作陽商工便覧(さくようしょうこうびんらん)」(資料1)に当時の苅田家住宅と酒造場が紹介されています。苅田家住宅は軒庇や格子窓などが特徴的に描かれていることが分かります。
そのほか、近年の写真(資料2)と比べると、旧苅田家住宅の特徴の一つである「3階建ての望楼(ぼうろう)」が描かれていないことや、今はない煙突が2本立っていることなどが観察できます。「望楼」は他の絵図から明治33年(1900)ごろの改造で建てられたと推定され、望楼が建てられる前の様子が分かる貴重な資料ともいえます。
これから予定されている保存修理事業では、建物の調査やさまざまな資料から、その変遷が明らかになることが期待されています。
歴史や変遷を知るために、文化課では旧苅田家住宅・酒造場の古写真や建物に関する資料を集めています。皆さんの情報をお待ちしています。
※資料は本紙をご確認ください。
問合せ:文化課文化財保護・活用係
【電話】32-7000