その他 成羽美術館所蔵の岩石から「西日本初!恐竜時代の魚竜化石」を大発見!

岡山理科大学、福井県立恐竜博物館、福井県立大学、福井大学、高梁市成羽美術館の共同研究により、成羽美術館に所蔵していた高梁市に分布する成羽層群地頭層(約2億2000万年前)の岩石から、西日本初となる恐竜時代の魚竜化石が発見されました。なお、三畳紀後期の魚竜類の化石は、日本初の大発見となります。

◆発見の経緯
令和5年7月、岡山理科大学加藤教授(当時倉敷芸術科学大学)と福井県立恐竜博物館湯川研究員が岡山県内の中高生とともに成羽美術館を訪れ、化石展示室で解説をしていたところ、加藤教授が展示されていたモノチス貝化石の岩石の表面に露出した脊椎動物の骨化石を見つけました。その後、X線CT分析によって詳しく調査し、この岩石中に21点もの骨化石が含まれていることや骨の特徴から魚竜化石であることが分かりました。

◆2億年前の成羽はどんなところだった?
成羽層群の時代、三畳紀(2億5190万年~2億140万年前)には日本列島は存在していませんでした。それどころか、現在の大陸の分布とは全く異なるパンゲアという1つの巨大な大陸があり、成羽地域はその大陸の沿岸部にあたりました。2億3000万年前、海沿いには巨大な森が広がっていましたが、そこは一度海に沈み、魚竜のいた時代は浅い内湾であったことが推測されています。

◆今後の活用について
成羽美術館では、「速報」として第一弾のミニ展示をこの8月に開催できるよう準備中です(8月初旬~月末、日程が決まり次第HPなどで告知します)。会期中は発見者の加藤教授や共同研究者の湯川研究員に来館いただき、魚竜のワークショップや講座も開く予定ですので、お楽しみに!
また、お声がけいただければ、成羽美術館学芸員が各地域へ出前授業も行いますのでご相談ください。

◆意義ある発見となりました
日本では宮城県で魚竜の化石が見つかっていますが、それ以外の地域で報告はありませんでした。特に、三畳紀後期という時代の報告は世界的にも珍しく、日本では初めてのことです。また、従来、化石研究では膨大な時間をかけてクリーニング作業を行いますが、今回は、X線CTを使用した「デジタル古生物学」という先端科学としてのアプローチを試みたのも特徴です。調査の結果、見つかった魚竜は原始的な仲間ではなく、より遊泳力の高い仲間である可能性が示唆されています。このような発見に至ったのは、長年にわたり市民の皆さんが化石に興味を持ってくださり、成羽美術館に収蔵することでその存在と価値を守ってきた成果と考えています。
(加藤教授より)

問合せ:社会教育課
【電話】21-1516