くらし 今月のテーマ/村の生物多様性ってどうなっとん?(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県西粟倉村
- 広報紙名 : 広報にしあわくら 2025年8月号
■はじめに
「生物多様性」という言葉をご存じでしょうか?村では、この生物多様性をテーマにさまざまな活動が行われています。しかし、「具体的にどのような取り組みをしているのか」「生物多様性とはなんなのか」については、漠然とした印象をお持ちの方が多いと思います。
今回の特集では、村で進められている生物多様性の活動について、その背景や目的とともに紹介します。
むらまる通信では、村内の生物データの収集を行っています。あわせてご覧ください。
■なぜ生物多様性?
生物多様性とは、生き物たちの「個性」と「つながり」を表す言葉です。地球上には、さまざまな種類の動植物が存在し、それぞれが環境と関わり合いながら生きています。この多様性があることで、自然のバランスが保たれ、私たち人間の暮らしも支えられています。
なぜ今、「生物多様性」という言葉をよく耳にするのでしょうか?その背景には、地球規模で進む気候変動や森林の減少、環境汚染などによる「自然の危機」があります。
これら人間社会の基盤として必要不可欠なもので、最近ではネイチャーポジティブ「自然の損失を止め回復軌道にのせ、自然と共生する社会の実現する」国際的な目標も生まれ、行政・企業・地域で取り組みが進んでいます。
村としても「生物多様性」というテーマを掲げることで、国や民間企業の支援を受けて、さまざまな取り組みが行われることで、さらなる地域活性化を目指しています。
自然に囲まれた村だからこそ、こういった取り組みに積極的に取り組む必要があると考えています。
■「生物多様性の3つのレベル」
■ビオ田んぼプロジェクトー人と自然が豊かになる田んぼを目指してー
下土居で「ビオ田んぼプロジェクト」を取り組むエーゼロ・グループ株式会社の太刀川さんにうかがいました。
▽「ビオ田んぼプロジェクト」ってなに?
田んぼから「美味しい」「楽しい」「嬉しい」をもっと引き出したい。田んぼの中にビオトープ(地面を少し深く掘って、一年中水が溜まるようにしたエリア)を取り入れ、さまざまな生きものや山菜を増やしながら米づくりを行い、子どもたちの遊び場や体験活動の場としても活用することで田んぼの価値を最大化するプロジェクトです。田んぼにビオトープを作ることで年間を通じて生きものたちが安定して暮らせる環境を作りながら稲作を行っています。
▽ビオ田んぼの目指す姿
村の里山や田んぼは農家の方々の日々の活動によって守られ、その環境が多くの生きものの生息場所にもなっていました。しかし、高齢化や生産コストの増加により、農地の維持が困難になってきています。自然豊かな村だからこそ、田んぼのもつ価値は「お米」だけではないと考えます。豊かな自然環境が、農業の価値を高め、さらに住民や様々な関係人口を巻き込みながら豊かな暮らしへとつながることを目指しています。
▽こんな生物が復活しました。
タガメを確認することができました。タガメは、絶滅危惧種に指定されている希少な生物です。ビオ田んぼの活動によって、餌となる生き物が増加し、また減農薬栽培が実施された結果、ビオ田んぼ周辺でのタガメの確認数が増加しています。