- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年1月号
■本村小学校
自分たちが踊りを継承して、この地域を活性化しよう。平家踊りを教育課程に位置付けたことで、子どもたちが自ら考え「技能の伝承」が「地域を活性化する活動」へ。
令和6年度「博報賞」「文部科学大臣賞」を受賞しました。
□どうやったら地域を盛り上げられるか
■つかんだ日本一の賞
木曜日の夕方、日が沈む頃聞こえてくる太鼓の音。本村小学校平家踊りを受け継ぐ子の会の活動が始まりました。昭和59年に結成され、40年目を迎えた今年。踊り・太鼓・三味線・音頭のすべてを子どもたちだけで演奏できるのは、市内ではこの会だけだといいます。
体育館に入ってみると、おや、学校の先生には見えない人がたくさん。三味線を指導する人や音頭をとる中学生、太鼓をたたく仕事帰りの人、みんな子どもたちと一緒になって、平家踊りの練習に汗を流しています。
本村小学校は、今年度「博報賞」の中でも最高賞となる博報賞と文部科学大臣賞を受賞しました。タイトルは、「平家踊りの伝統を受け継ぐ~コミュニティ・スクールの仕組みを活用して~」
特に評価されたのが、子どもたちが地域と課題を共有し自ら考え主体性のある行動を取った、という点でした。
■技能の伝承から地域を活性化する活動へ
指導者の高齢化や児童数の減少、さらには、新型コロナウイルスによる出演機会の喪失といった、活動の存続が危ぶまれた時期がありました。さぁどうする、となった時、コミュニティ・スクールの仕組みを活用して、教育課程の中に平家踊りの継承を位置付けたのです。
「それ以前は、1・2年生が踊りを教わって、3・4年生が太鼓や三味線などの技能を教わってきました。これを、ふるさと玄洋学という小中一貫のカリキュラムの中に位置付けたことで、5・6年生、そして中学生になっても授業の中で平家踊りに関われるように。すると、技能の伝承のための活動が、伝統芸能で地域を活性化させようという、子どもたちの主体的な取り組みに変わってきました」と、前田真奈美校長は話します。
■地域とともにある学校
ふるさと玄洋学をはじめ、学校と地域の連携を支えるのは、地域学校協働活動推進員の小山智子さん。調理実習やふるさと探検など、それぞれの活動に適した地域のボランティアをコーディネートするだけでなく、新しく入学する児童の保護者の不安を減らそうと相談に乗ってあげる姿に、前田校長は「コミュニティ・スクールになくてはならない存在です」と話します。
小山さんの他にも、活動を支える地域の方が、本村にはたくさん。
皆さんが口をそろえて言う3つのこと。「楽しんでほしい。続けてほしい。次の世代につないでいってほしい」。思いが一つであるからこそ、皆さんの主体的な活動が続いていくのかもしれませんね。
▼わくわく地域連携教育だより
本村小学校の取り組みが詳しく紹介されています。
URL:https://www.city.shimonoseki.lg.jp/soshiki/103/122431.html
博報賞とは…児童教育現場の活性化と支援を目的として、日々教育現場で尽力する学校などに贈られる「波及効果が期待できる草の根的な活動と貢献」を顕彰する賞。
※写真は本紙参照