くらし しもまちキラリ

■豊北吹奏楽団
地域性豊かで多彩な文化芸術活動の振興に大きく寄与したとして、「令和6年度県民活動きらめき賞」を受賞した豊北吹奏楽団を紹介します。

●豊北地域とともにある吹奏楽団
▽半世紀も続く吹奏楽団
土曜日の夜、豊北生涯学習センターから鳴り響く楽器の音。練習場の扉を開けると、豊北吹奏楽団が奏でるハーモニーが迎えてくれます。
豊北地域でこの楽団を知らない人はいないのではないでしょうか。彼らは、つのしま夕やけマラソンやほうほく文化祭等のさまざまな地域行事で演奏し、音楽の力でにぎわいを生み出す、市民バンドです。50年以上も活動を続けてこられた理由を、代表の佐々木猛さんは「私も団員もそれぞれ家族が『行っておいで』と送り出してくれたおかげ。それと若い団員たちがしっかりやってくれる。だから私は、音楽で50年間遊べています」と笑顔で語ります。

▽学校部活動の受け皿にも
生徒がスポーツや文化芸術活動に継続して親しむことができる環境を構築するために、下関市では令和9年3月末までに、休日の学校部活動を地域の受け皿となる団体等に移行することとしており、学校間連携や関係団体との連携を進めています。
豊北吹奏楽団は、豊北町の出生数を見て、学校部活動の崩壊を危惧し、昨年度この事業に参加したそうです。「地域と学校とでうまく連携できたと思います。私たちは、部活動で頑張る生徒を、楽団に引き抜くことはしません。学校の思いを無視し、地域とのつながりを壊したくないからです。地域にこういう居場所があることを生徒に知ってもらえればいいのです。中学・高校卒業後、豊北で暮らすときに、一緒に音楽ができればうれしいですけどね」と佐々木さんは、地域の在り方を見据えます。

▽口をそろえて団員は
「この過疎の町で、毎週この人数が集まり、演奏しているなんて考えられない(笑)」という団員の声が。でもその表情には「誇り」がうかがえます。指揮者の宮本泰さんに4月に開催される定期演奏会に向けた出来を尋ねると、「団員たちはお客さんを喜ばせたいというエネルギーがあります。一生懸命に練習しますので楽しみにしてください」と話します。
第50回という節目の定期演奏会。彼らが奏でる音楽に期待せずにはいられません。

▽豊北吹奏楽団 第50回定期演奏会
日時:4月29日(火曜日)13時30分
場所:豊北生涯学習センター

問合先:豊北吹奏楽団事務局(佐々木歯科医院内)
【電話】786-1818

▽豊北吹奏楽団員FILE
・指揮 宮本 泰さん
もともとは団員ではなく、定期演奏会のステージマネージャー。4年前に楽団から依頼を受け、指揮者に就任。

・トロンボーン 佐々木 猛さん
楽団の発起人。昨年、県吹奏楽連盟から長年のコンクール出場や音楽文化の発展に寄与したとして表彰された。
(演奏するよりみんなを応援する方が得意なんです)

・オーボエ 江原美音さん
最年少。親子2世代で所属し、ホルン演奏者の両親とは楽器が異なり、明瞭で澄んだ音色のオーボエで演奏。
(団員はみんな優しいです!)

・パーカッション 市川広大さん
楽団の五十年史を製作した第一人者。これまでの歴史や楽譜等を掲載し、400ページにも及ぶ大作を完成させた。
(後輩から先輩への感謝の気持ちで作っちゃいました)

※写真は、本紙またはPDF版をご覧ください。