- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県岩国市
- 広報紙名 : 広報いわくに 令和7年4月15日号
■昭和の錦帯橋周辺のお花見事情
今年は昭和元年から100年目にあたる節目の年です。そこで今回は昭和の錦帯橋周辺のお花見の様子について、当時の新聞からいくつか紹介します。
昭和2年4月12日の記事には、桜の見頃に合わせて花見客を迎えるため、錦帯橋周辺や吉香公園を雪洞(ぼんぼり)で飾り、出店が河川敷を埋め尽くしたと書かれており、満開シーズンの集客への大きな期待が記されています。
しかし4月22日の新聞の見出しには「岩国の桜 今年は去年以上の大不景気」とあります。雨で桜の見頃が短くなり、休日も人出が期待できなかったため、臨時出店した店は早々に店じまいをしたようです。記事ではこの原因を天皇陛下の喪中・財政不況・例年より寒い気候と分析しており、イベントが成功しなかった要因を、天候以外の社会情勢も絡めて記述しています。
時は経ち、昭和26年3月30日には「桜祭り開幕」と見出しをつけ、「今年は錦帯橋はないが土台を再建中で、これは今春の見物であろう」と、前年のキジア台風で流失した錦帯橋の再建工事についても触れ、祭りの目玉の一つとして扱っています。またイベント告知欄には、開館間もない岩国徴古館の企画展も含まれています。
昭和27年4月20日「十三日日曜に花見客殺到」の記事には、岩国駅や西岩国駅から電車やバスなどを利用した人が普段の5倍ほどあり、吉香公園は3万人で埋まったと書かれています。今津の長山公園にも多くの人が駆け付けたなど、短い記事の中から盛況ぶりをうかがうことができます。
昭和29年4月30日「早咲き桜に花見客 錦帯橋にも殺到」の記事には、桜が3月末から咲き始めたので、錦帯橋周辺に大慌てで出店を設置したとあり、その甲斐もあって葉桜になるまでの2週間で6万人の集客があったそうです。
このように昔からお花見情報は春の風物詩であることがわかります。
今年の新聞にはどんなことが書かれているか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
▽岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)