文化 ウミガメNews Letter No.40

■うみがめの森
日和佐八幡神社の鎮守の森は大浜海岸に沿って広がり、ウミガメの産卵場と人が生活する町の境界にあります。産卵する砂浜の暗さを好むウミガメと生活に灯りが必要な人が共存する時、この森が町の灯りを遮りウミガメが好む砂浜を維持しながら、強風や塩害などから町を守る重要な役割を持つことから「うみがめの森」と呼んでいます。しかし、近年、この森のクスノキなどに枝枯れが目立ち、その役割が弱くなりつつあります。この様な状況では、樹木を弱らせる病害虫や菌類を抑える薬剤注入、根元の土壌入替え、弱った枝の切払い等の対症療法的な処置がとられることが多い様ですが、樹木が健全に生育する環境に着目し、これを整える処置もあります。2月10日~13日に「にぎやかな大浜・宮の森づくり実行委員会」の呼びかけで大勢のボランティアが八幡神社に集まり、早朝から夕方まで境内の巨木の周りで作業が行われました。その作業は、地中を巡る「通気浸透水脈」と呼ばれる地中の水と空気の流れを整えて、樹木の根を健全な状態にすることを目的とした作業です。山、森、川、野原そして砂浜は普段から人の目に見える環境ですが、地中については、直接見ることはない環境です。畑を耕したり土いじりをしたりする時、ミミズや小さな虫を見かけると思いますが、それよりもさらに小さな菌類などが樹木の根と共生関係にある事が注目される様になったのはつい最近のことです。今回の作業は、この共生関係に注目し、また自然環境の中で長い時間をかけて先人が残した知恵を読み解いて現代の環境問題に取り組む「NPO法人地球守」の指導で行われています。うみがめの森を守る活動は、作業範囲を拡げながら今後も続けられ、大浜海岸でのウミガメ保全活動と共に「ウミガメの聖地」を継承する重要な活動になるでしょう。
館長:平手康市
参考図書:高田宏臣著「土中環境」、同著「よくわかる土中環境」

うみがめについての質問をお送りください。
お答えします!
〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」

■Question
ウミガメは恐竜が滅びた時代を生きのびたのですか?

■Answer
中生代の終わりは、ウミガメや恐竜など多くの種が滅びた時代です。しかし、全てが絶滅したのではなく、その時代を生き残ったウミガメが進化を続け、現代のウミガメになりました。また、恐竜にも生き残った種がいて、それが現在の鳥類に進化したと考えられています。