しごと 挑戦するかがわのものづくり企業(80)

◆讃光工業株式会社
【住所】さぬき市長尾西877番地
設立:1948年
従業員数:69人
【電話】0879-52-2591
【HP】https://sanko-scl.co.jp/

綿毛のような軽いものから、砂利やコンクリートのような重量物まで、どんなものでも迅速・正確に重さをはかることで産業を支える計量器。自社開発力を軸に「最新鋭のはかり」を追求し続ける、香川のものづくり企業を紹介します。

■スケールの大きいものを精密にはかるハカリシレナイ「はかり」の世界
◯農業用計量器を軸にオーダーメイドにも対応
「専門性の高い大型計量器は、日常生活では目にすることが少ないと思いますが、『計量』はあらゆる分野に必要不可欠。特に農業・工業分野になくてはならない製品として、皆さんの暮らしを陰ながら支えています」と語るのは、取締役社長の六車太士(むぐるまふとし)さん。
棒はかり・台秤などの一般用はかりの製造からスタートした同社。その後、砂利やセメント類をはかるコンクリート工場用はかり、穀物をはかる農業用はかりといった分野で順調に需要を開拓してきました。現在は特殊な用途の一点ものの計量器から、周辺機器を含めた工場のラインの提案まで、幅広く手掛けます。
現在、売上の約半分を支えるのは、農業用のはかり。収穫された大量の穀類を、集荷・乾燥・検査・出荷するまでの各工程で、「一定量ずつ供給し正確に重さをはかる」ためのさまざまなはかりが活躍しています。かつてはさおやバネなどを使った機械的な機構ではかっていましたが、40年ほど前により速く正確にはかれる電気重量センサーが登場し、今やわずかな振動や風にでも重量表示が左右されるほどの精密機械に。同社では計量精度とともに「より高速で丁寧な計量から供給まで」「粉じんを出さないクリーンな仕組み」などを追求し、性能改善を重ねています。
収穫期に集中してハードな運用をするため、メンテナンスも重要です。同社は東京・北陸事務所のほか全国各地の協力会社と連携してサービス拠点を展開し、きめ細かく対応しています。

◯多様性を生かして海外へ
売上の4割ほどを占める特殊なはかりの中でも、近年開発した『4軸オーーーガ』は期待の新製品。らせん状のスクリューの回転によって粉体などを一定量ずつ充てん・計量する機能を持つ装置です。「充てん」と「計量」には深い関係性があり、同社が培ってきた計量器のノウハウが生かされています。一般的に普及している製品は1軸のもので、開発した4軸タイプは同社のオリジナル。高速かつパワフルな性能を「充てん機界の4WD」とうたっています。
現在は主にリチウムイオン電池の原材料を容器の中に均等に詰める充てん装置に使われていますが、ステンレスを多用しており衛生的な環境を保ちやすいことから、六車さんは「食品分野への応用も視野に入れています。クリーンな製造環境が求められる時代に、異物の混入リスクを軽減するニーズに応えられる性能を、これからも追求していきたい」と話します。
こうした開発を支えるのが、設計開発部門。機械・電気系の設計チームには、中国・インドなどからの海外出身者を含めた多様な技術者が19人在籍しており、常に新しいものを提案しようと高いモチベーションを持って働いています。六車さんは「『4軸オーーーガ』は海外への展開も始まっていますから、外国人材のコミュニケーションスキルが生きるチャンスもあるでしょう」と期待を寄せつつ、「社内講習が充実しており、文系でも熱意次第で設計者を目指せる環境です。さまざまな人材が柔軟に力を発揮できるよう、環境を整えていきたい」と展望を語っています。

◎知識と技術を受け継ぐ若手が着実に成長
◎スケールは大きく、計量は精密に。右は粉・粒状のものをはかる「ホッパースケール」
◎六車社長(後列中央)とものづくりの中核である技術本部メンバー
◎製造体制を強化し続け、創業の地で今も続くものづくり
◎特許を取得した『4軸オーーーガ』
※詳細は広報紙8・9ページの写真をご覧ください。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904