- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県新居浜市
- 広報紙名 : 市政だより「にいはま」 令和7年(2025年)9月号
全国の頂点に立ったアスリートと世界の大舞台で才能を認められたデザイナー。全く違うフィールドで活躍する2人に、成功への道のりを聞きました。
■ロードレース(自転車)の全国大会で優勝
波片 鉄平さん(実業団チーム「CR3W」所属選手)
6月、静岡県で開催された「全日本選手権ロードレース2025 マスターズ」に出場し、50代クラスの頂点に輝きました。
急な坂が続くのが特徴のコース。波片さんが「最も苦手」とするコースでしたが、レース序盤から先頭集団に食らいつきます。2年前の覇者が上りのたびにペースを上げる中、誘いには乗らず「我慢」。ラスト150ⅿ、持ち味のスプリント(短距離の全力疾走)で勝負を仕掛けて集団を飛び出し、2位選手との一騎打ちを制しました。
全日本選手権を目標に据えたのは2022年。所属する実業団のマスターズで年間チャンピオンになったことから「全日本を狙える位置にいる。50歳になったら出場しよう」と決意し、3年計画で準備に臨みました。
市の消防職員として働く傍ら、冬場のトレーニングでは月1,500~1,800kⅿほどを実走。苦手なレースへの出場や減量に取り組んだ他、大会前にはさらに距離を伸ばして追い込みをかけました。
次なる目標は、来年の全日本選手権での連覇。今月開催される「日本スポーツマスターズ2025inえひめ」をはじめ、県内外のさまざまなレースに出場し、腕を磨くつもりです。
全日本のチャンピオンジャージーと誇りを身にまとい、波片さんの挑戦は続きます。
■世界最大級のデザインコンペで入賞
吉田 菊美さん(デザイナー・ブランドプランナー)
イタリアで開催された世界最大級の国際デザイン賞「A’Design Award and Competition」パッケージ部門に3点を出品し、2点がブロンズ賞(最高賞から4番目)、1点がアイアン賞(5番目)に選ばれました。
出品したのは、はがた農園の野菜のギフトボックスと漬物、株式会社大愛の「KINOKO MESHI」。地元企業とコラボし、県の広告賞で入賞した作品です。「愛媛でお客さまとともに形にしたデザインが、海外のコンペでどこまで届くか見てみたいという思いがありました。私自身が大切にしてきた“届ける”という姿勢の原点にも通じていました」と吉田さん。
吉田さんは地元の高校を卒業後、大阪の専門学校でデザインを勉強。卒業後は帰郷し、広告会社などでキャリアを重ねました。2020年に独立し、「クーチェデザイン」を設立。新居浜を拠点に活動する傍ら、松山大学で教壇に立ち、後進の育成にもあたっています。
大切にしているのは現場に足を運ぶこと。「そこに流れている空気感をデザインで見える化して、分かりやすい形にしたいんです」。出品した3作品も、何度も現場を訪れデザインを練り上げていきました。
最近やっと受賞の実感がわいてきたそう。「地元企業と力を合わせることで、みんながウィンウィンウィンになる、みたいな。作って終わりではなく、新居浜だからできることをしたい」と意欲をのぞかせました。