文化 [令和版]山城作業日記 河後森城(かごもりじょう)からこんにちは -14-

前回の広報では、城を防御するための建築物として、平面が長方形で長屋状となった「多門櫓(たもんやぐら)」を紹介しましたが、河後森城の発掘調査では、もう一つ別のタイプの「井楼櫓(せいろうやぐら)」と呼ぶ建物が検出されています。
この櫓の特徴としては、まず、通常の建物には珍しく平面が正方形になっていることが挙げられます。河後森城では本郭、古城、新城の各地点でその候補となる施設を確認していますが、どの建物跡も一辺が約4メートルの規模となっています。また、全国的な事例では、柱を埋めるために掘った穴が大きめで深く、やや内側に傾くことがあるなどの特徴も指摘されており、このような理由から「井楼櫓」は高さが6~8メートルにも及ぶような高層建築の櫓だったのではないかと推測されています。
高層の櫓の存在は、敵の攻めてくる様子を高所から観察するのに大きな効力を発揮したと考えられます。櫓上からは敵兵の位置や人数を味方に知らせ、曲輪(くるわ)からは石や弓矢、鉄砲を効率的に浴びせかけることで、山城を死守していたのではないでしょうか。
(続く)