- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県鬼北町
- 広報紙名 : 広報きほく 令和7年10月号
■奈良山等妙寺史跡公園 等妙寺と奈良山信仰
14世紀から16世紀まで約260年続いた中世の等妙寺、山上に12の院や坊、最盛期には72の末寺を抱える大きな山寺で、遠国の四箇戒場の一つとして栄えました。それほどのお寺がなぜ、この鬼北の地にできたのか?そこには神の山として奈な良ら山さんを崇あがめる山岳信仰が大きく関わっています。
理玉和か尚しょうが等妙寺を開く以前から、奈良山は如意輪観音(現在も等妙寺の御本尊)を信仰する山岳霊場とされており、この環境が存在していたからこそ、理玉はここに等妙寺を開いたと考えられています。
この地に伝わる曽我兄弟と鬼王段三郎にまつわる伝承、山の神の使いとしての「おに」の信仰や、観音信仰など、奈良山は幾重にも人々の信仰が重なった霊場でした。
さらに理玉は、四万十川にそそぐ風光明媚な盆地であるこの地に、朝夕に見せる神秘的で幻想的な風景によって、比叡山に匹敵する聖地としてのパワーを感じたのではないでしょうか。
四季が織りなす風景に、鬼北のパワーを感じに来ませんか。かつての修行僧と同じ景色を見たら、なぜこの地に大きな山寺ができたのか、きっと感じられると思います。
(奈良山等妙寺歴史交流館 館長)
