子育て 教育の充実に向けて(2)

全国的にも、ICT機器を活用する自信がある児童生徒ほど、各教科の正答率・スコアが高い傾向にあるという分析結果があり、香美市の中学校では、「文章作成」「情報収集」の項目で、その傾向が見られました。
ICT端末で文章作成や情報収集に自信がある子どもの学力が高いのは、単に操作に慣れているからだけでなく、目的をもって、調べた情報を整理して、必要なものを選び出し、考えを広めたり深めたりしながら、自分の言葉で表現する力が身についているからです。これらの積み重ねが、結果として学力の向上に結びついていると考えます。また各小中学校では、端末活用のスキル向上だけでなく、情報モラル教育など、情報社会で安全に生活するための端末の適切な利用についても、発達段階に応じて指導しています。
香美市は、デジタルとアナログのそれぞれの良さをいかした学習を進めており、子どもたちが自分に合った学び方で学べるよう、端末を活用する場面も自分で判断し、必要に応じ活用できることをめざしています。

■自立した学習者を育てるために
変化が激しく、答えが一つではない課題に向き合うことが求められる現在の社会を生き抜くため、「学びの自己調整」は不可欠な学びの力です。学習者が自分の学習を自ら計画・実行・評価・改善する「自分で学びをコントロールできる学び」の実現に向けて各校が実践を重ねています。また教員も、教科の知識だけでなく、計画の立て方や調べ方、まとめ方などの「学び方」の指導、「何ができたのか・どこでつまずいたのか・次にどうするか」という子どもたち自身が学習の過程を振り返り、改善する場の設定やフィードバックなど、「教える人」から「学びを支援する人」への転換が求められています。
1人1台端末とクラウド(※)の活用により、クラス全員が一斉に同じ内容を同じペースで学習する授業から、一人ひとりの個性や理解度に合わせて複数の学習活動が同時に展開される「複線型授業」を実践することが可能となりました。また、端末上で個々の子どもたちの学びの進捗が確認できるため、先生も個に応じた指導がしやすくなっています。
今後は、スタディログ(学習履歴)の利活用を進め、教員が自動的に集計・蓄積される児童生徒の学習状況を把握することで、一人一人の得意・不得意な分野や習熟度に応じた適切な助言や指導改善につなげます。また子どもたちも、自分の学習データを確認することで、学習習慣や学習行動などの傾向を知り、自らの学習を調整する力を育むツールとして活用できるよう進めていきます。

(※)クラウドとは…
ユーザー側の環境に影響されず、インターネット上で利用可能なサービスの総称。特徴は「作業している途中でも共有できる」「後から追加や修正ができる」「追加や修正の記録が全て残る」など。

・考えを図式化して視覚的に整理することで「考える」ことの手助けとなる「思考ツール」の基本的な使い方を学んでいます。場面に合わせて活用し、問題解決ができるようになることをめざしています。

・同じ教室の中に、先生に相談する子や友だちと相談しながら進める子、動画で解き方を確認する子など、一人ひとりが自分の課題に合った学びを、自分のペースで進めています。

・協働の場面で、ホワイトボードとタブレットを活用しています。学習の内容に応じてデジタルとアナログを使い分けたり融合したりするなど、学習目的や活動場面に合わせてICTを効果的に取り入れています。

■おわりに
社会で生きて働く資質・能力を身に付け、児童生徒が学校教育のみならず、大人になってからも、実社会・実生活の中で重要な役割を果たすことができるよう、香美市では「探究」を軸として、「自立した学習者」の育成に向けて、小中学校9年間の学びをつなぐ取組を推進していきます。

問合せ:香美市教育委員会