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〔テーマ〕脊椎椎体骨折(圧迫骨折)について
飯塚市立病院 リハビリテーション室
理学療法士 吉村(よしむら) 光加(みか)

脊椎椎体骨折とは俗に『圧迫骨折』といい、背中の骨(腰椎・胸椎)の椎体という部位が潰れるように折れてしまう骨折です。椎体骨折は、骨粗しょう症などが原因で骨がもろくなっているところに、くしゃみや尻もち、椅子に勢いよく座るなどの衝撃が加わったことで生じる骨折で、高齢の方に多くみられます。若い方でも交通事故や高所からの転落などで生じることもあります。特に骨粗しょう症が原因の場合、胸椎と腰椎の間に発症することが多く、1か所に骨折が起こると、その上下の骨にまでドミノ倒しのように骨折が拡がってしまうことがよくあるので注意が必要です。
治療としては、コルセットやギプスで固定する保存療法、骨折部に医療用セメントを注入する骨セメント治療、プレートなどを使って骨自体を固定する骨固定術などがありますが、ほとんどの場合は保存療法を行うことが多く、受傷後1か月間、特に2~3週間は骨折部位が不安定で潰れやすいため安静が必要です。コルセット自体は主治医が許可するまで数か月間着用します。その際に痛みが強く自宅での生活が困難な場合は入院が必要ですが、痛みが軽度で家族が介助できる場合は自宅で療養することもできます。ただし、自宅療養を行う場合に注意していただきたいことがありますのでご紹介します。
(1)前かがみにならない。(顔を洗う、靴下をはく、床に落ちたものを拾うといった動作は無意識に前かがみになりやすいので、膝を曲げたり台を使ったりして背筋をのばした状態で行う。)
(2)体をひねらない。(後ろへ振り返る動作は身体全体を動かすように意識し、腰だけをひねる動きは避ける。)
(3)重いものを持たない。(5~10kgといった重いものやペットボトルを数個同時に持つなど。)
(4)仰向けに寝ない。(仰向けで寝ると骨折部位が開く方向に力がかかるので、横向きに寝るとよい。)
潰れた椎体にさらに負担をかけると痛みが強くなったり、骨折が悪化する恐れがありますので、これらのことに注意して過ごして下さい。もし痛みがひどくなったり、足にしびれなどの症状が現れた時は、早めの受診をお願いします。

※飯塚市立病院よりお願い
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