文化 筑後百景

このコーナーでは、皆さんに「知ってほしい」「伝えたい」筑後市の歴史や文化、取り組みなどを紹介します。(不定期掲載)
今回は「船小屋温泉と夏目漱石」です。

「船小屋」という地名の由来を知っていますか。元禄2年(1689年)久留米藩が、矢部川の護岸工事用の石を運ぶ船を洪水から守るために格納小屋を建てました。その小屋は「石船小屋」と呼ばれ、次第に現在の「船小屋」になったとされています。
船小屋が温泉地としてにぎわいを見せはじめたころ、文豪・夏目漱石もこの地に立ち寄っています。明治29年、熊本第五高等学校に赴任した漱石は、結婚したばかりの妻・鏡子と一緒に、福岡に住む鏡子の叔父を訪ねる途中、船小屋に宿泊しました。このとき詠(よ)んだ俳句が「正岡子規へ送りたる句稿その十七 九月二十五日」に書かれています。
「ひやひやと雲が来る也温ゆ泉の二階」
清水山あたりから湧き出る雲の流れを見て詠んだのでしょうか。