- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県筑紫野市
- 広報紙名 : 広報ちくしの 令和7年4月号
筑紫野市では、体調や育児に不安がある産後のママが、心身の回復を促したり、安心して育児ができるよう「産後ケア事業」を実施しています。
今回は、問い合わせの多い、産後ケア事業の具体的な内容や利用者の声をご紹介します。
■産後(さんご)ケアって何なんですか?
産後ケアとは、出産で身体に大きなダメージを受けたママと赤ちゃんのお世話をサポートすることです。母体の回復が十分でない産後から、待ったなしで育児はスタートします。慣れない育児や睡眠不足などが重なり、心身ともに疲労しがちなママと赤ちゃんに、助産師などの専門職が育児支援や心身のケアを行います。
■高(たか)まる産後(さんご)ケアの需要(じゅよう)
核家族化の進行や共働き世帯の増加によって、家族からのサポートが得られず、一人で子育てを担っている産後ママが多いという現状があります。
また、10人に1人が発症する産後うつは、産後のホルモンバランスの変化や育児のサポート不足などの要因も大きく影響しています。
そのため、産後ケアは産後のうつ病の発症予防としても、その必要性が高まっています。
■産後(さんご)ケアで受(う)けられるサポート
産後ケアでは主に4つのサポートを受けることができます。
▼心と身体のケア
ママの体調に応じて、休息を促し、不安や不調を和らげるサポート
▼育児のサポート
沐浴(もくよく)やスキンケア、おむつ交換など、赤ちゃんのケアについて具体的な助言
▼授乳のサポート
授乳の方法や乳房ケア、ミルクの量などの相談、アドバイス
▼発育・発達の相談
体重測定や離乳食の進め方などのアドバイス
■無理(むり)はときに気付(きづ)かない
赤ちゃんのために、と育児を頑張るママが多いですが、育児に追われて心に余裕がなくなると、自分が無理をしていることに気付かないこともあります。
ご家族や周りの人も、ママが無理しすぎないように、産後ケア事業の利用を勧めてあげてみてください。
■私(わたし)たちがサポート
▼永川産婦人科 師長 山本亜紀(やまもとあき)さん
「眠れなくてつらい」「誰かに話を聞いてもらいたい」と思ったら、遠慮せずに産後ケアを利用してみてください。笑顔のママを一人でも増やせるようにスタッフ皆でサポートします。
▼ベビーフェリス井手 助産師 井手敬子(いできょうこ)さん
子育てを孤独に感じている人も多いと思いますが、一人で頑張らなくて良いんです。
悩みがなくても、ぜひ産後ケアを利用してみてください。
■利用者(りようしゃ)インタビュー
▼頼(たよ)れる存在(そんざい)がいる安心感(あんしんかん)
関谷虹琉(せきやれいる)ちゃん 関谷彩花(せきやあやか)さん
育児相談を利用しました。問題の解消もですが、相談することによって気持ちが楽になるのも大きかったです。利用する中で、育児は頑張りすぎなくても良いんだ、と気付かされました。助産師の井手さんはなんでも相談にのってくれて、今では母親と同じくらい頼れる存在です。
育児に追われ、自分の時間が取れない中、産後ケアは自分と向き合う大切な時間となっています。
人付き合いが苦手な人はもちろん、自分で何でもできると思っている人も利用してみてほしいです。自分がわかっていなかったことがわかる、そんな気づきも得ることができます。思っている以上に得るものは多いですよ。
○育児相談(いくじそうだん)
安心して相談やケアが受けられるよう、産後ケア施設では室内環境にも配慮されています。育児相談では、母乳に関する相談以外にも、体重増加の悩みや日々の育児相談ができ、また、成長の喜びを一緒に共有できる場となっています。1歳近くなると、職場復帰に向けて、卒乳や断乳の相談で利用する人も多いです。
▼ママが充電(じゅうでん)できる場所(ばしょ)
矢野司朔(やのつかさ)ちゃん 矢野杏南(やのあんな)さん
出産後に家に戻り、子育てと家事を自分でして睡眠時間が取れない中、「ただただ寝たい」という思いで産後ケアを利用しました。最初は利用して良いのかという迷いや申し訳なさがありましたが、スタッフの人に優しく受け入れてもらい、赤ちゃんを助産師さんに預かってもらえるという安心感は大きかったです。
「母親なんだから」という重責を自分に課しすぎている人は多いと思います。「自分は大丈夫」と思っている人も必ず無理はしているはずです。心のケアに、ぜひ活用してみてほしいです。私ももっと人を頼って良いんだという気付きになりました。
○ショートステイ
受付後は、ママの体調や要望を聞きながら、休息の確保や沐浴(もくよく)指導、授乳相談など必要なケアを行います。困ったときに24時間いつでもスタッフが側にいる安心感は、ショートステイならではの良さです。温かい食事を楽しみながら、心と身体をリフレッシュしましょう。