文化 特集2 祝 前畑遺跡国史跡指定(まえはたいせきくにしせきしてい)

平成27~29年度に実施した筑紫駅西口土地区画整理事業に伴う前畑遺跡の発掘調査で、古代につくられた土塁状遺構が発見されました。このたび、古代大宰府に関わる重要な遺跡であると評価され、3月10日に国の史跡に指定されました。
※古代の役所およびその周辺の遺跡に関する「ダザイフ」の表記は、「大宰府」となります。

■前畑遺跡って何?
前畑遺跡は、市南部の大字若江と筑紫に広がる遺跡です。博多湾に面する福岡平野と有明海に面する筑後平野をつなぐ細長い回廊状の地形の南方に立地しています。
土塁状遺構は、回廊状の地形が筑後平野に向かって広がり始める丘陵上に所在しています。この土塁状遺構は、その総延長は558mを越えており、高度な土木技術によってつくられたことが発掘調査で明らかになりました。

■国史跡って何?
国史跡とは、歴史上または学術上価値が高い遺跡などを文部科学大臣が、文化財保護法に基づいて指定するものです。
前畑遺跡は、3月10日に文部科学大臣の告示によって、国の史跡になりました。
市内の国史跡には他に、五郎山古墳、塔原塔跡、阿志岐山城跡、宝満山があり、さらに重要な特別史跡として基肄(椽)城跡が指定されています。

■ここがすごいよ!前畑遺跡
▽なぜ国の史跡に指定されたの?
前畑遺跡の土塁状遺構は、古代の大規模な土木構造物です。その規模や構造から、古代大宰府と関連があり、国家的な関与のもとにつくられた可能性が高いと考えられます。大宰府の周辺に点在する水城や小水城、大野城や基肄城、阿志岐山城などの古代山城とともに一体となって機能した可能性が指摘されています。
また、前畑遺跡の土塁状遺構は、丘陵上の自然地形を利用して、多様な土木技術を用いてつくられたことが分かりました。
まず、つくる際に地面を階段状に削りだす、または平坦にするなど、いくつかのパターンがあることが確認されました。その上に、異なる土を薄く層状に積み重ねるなど、古代の山城や築堤などにも共通する工法が使われています。一方で、国内の他の土木構造物では確認されていない工法が前畑遺跡で初めて確認されるなど、当時の土木技術に多様性があることが、この土塁状遺構によって分かりました。
このことから、大宰府の外郭線を考えるきっかけともなり、大宰府の構造を考える上でも極めて重要であることが評価され、国の史跡に指定されました。

問合せ:文化財課

■前畑遺跡国史跡指定記念講演会
筑紫の古代史のはなし~前畑遺跡から歴史を読む~
日付:7月5日(土)
時間:13時30分~15時30分
講師:小鹿野亮 歴史博物館長
場所:生涯学習センター3階視聴覚室
申込方法:電話または博物館窓口にて
申込期間:6月10日(火)、9時~
先着100人

問合せ:歴史博物館
【電話】922-1911