- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県筑紫野市
- 広報紙名 : 広報ちくしの 令和7年6月号
■其の百十四
海(うみ)を渡(わた)ってきた青磁(せいじ)と魚(さかな)
今から約40年前、筑紫野市の南端、西小田区で行われた発掘調査で、鎌倉時代の遺跡から一枚の小皿が出土しました。
現在の中国南部、浙江省(せっこうしょう)の龍泉(りゅうせん)という場所を中心に作られ、海を渡って筑紫野の地にやってきたものです。
龍泉窯系青磁(りゅうせんようけいせいじ)という陶磁器で、宋~元の時代に作られ、淡いブルーや深い緑色が特徴的です。
文様も特徴的で、口径10cmほどの小さな皿の内面には、一匹の鯉のような魚が優雅に泳ぐ姿が描かれています。
中国では、古くから、一度に多くの卵を産む魚は子孫繁栄の象徴とされ、身の回りのさまざまなモノに描かれてきました。
この小皿がほぼ欠けることなく残り続けたのは、この土地の人々の繁栄を願って大切にされてきたからでしょう。
今にも泳ぎだしそうなほどいきいきと描かれたその姿は、歴史博物館の常設展示室で見ることができます。
問合せ:文化財課