- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県大野城市
- 広報紙名 : 広報「大野城」 令和7年9月15日号
■大野城心のふるさと館のおすすめ(21)
◇平野神社のお祭り 宮座
実りの秋になると、市内の各神社では宮座が行われます。宮座は収穫された新しい穀物などを祭壇に捧げ、五穀豊穣をもたらしてくれた神様に感謝する大事なお祭りです。
古い歴史を持つ牛頸の平野神社では、牛頸区の前身である上牛頸村(井手・丸隈・原・中通り)と下牛頸村(大立寺・横峯(平田を含む)・堂の本・月の浦・畑ケ坂)の12軒が宮座員となり、行事を行ってきました。当元(宮座の世話役)を中心に日程などの調整が行われ、9月下旬に宮座員で注連縄(しめなわ)やお鏡餅の元になるもち米の稲刈りを行い、10月初めに平野神社境内で拝殿や鳥居などに掛ける注連縄を作り、新しいものに架け替え、10月中旬にお鏡餅を搗(つ)き、宮座の準備が進んでいきます。
10月17日頃に行う宮座当日、二段重ねのお鏡餅や新米、雌雄の大鯛一対、ホテ(柿、長芋、トコロ芋)などを12個の三宝にのせ、12膳の箸を添えたお供物が準備され、宮座員の手渡しで平野神社の拝殿から本殿に運ばれ、神様に供えられます。ひとときの後、宮座員の手渡しで本殿からお供物が下げられ、御神酒と焼いた大鯛で直会(なおらい)(神前での会食)が行われます。直会では来年の当元を決める当渡しが行われ、宮座が続けられてきました。
市では平成5年(1993)と令和6年(2024)に、平野神社の宮座の民俗文化財調査を行いました。宮座は30年ほどの間に祭日の短縮、餅搗き方法の変化などがある一方、注連縄やお供物などはほぼ形を変えずに継承されていることが分かりました。このような変化は、宮座員や関わりのある人々が生活の中で何を残し、何を受け継いでいくか、長い時間をかけて選んできたことを現しています。きっとこれからも宮座のあり方は地域の人々の暮らしの移り変わりに合わせて変化し続けていくことでしょう。
さて、夏の暑さが和らぎ、宮座の準備が始まる時季になりました。住んでいる地域の神社ではどんなお祭りが行われていますか。
問い合わせ先:心のふるさと館文化財担当
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