文化 きゅうはく通信(177)

■開館20周年を迎えて
青葉薫る好季節を迎えた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
明治6年に開催された太宰府博覧会の流れを受けて、明治20年代には九州に博物館を設置する構想がありました。明治26年には鎮西博物館を設立する動きが進んでいましたが、諸般の事情により見果てぬ夢と潰えてしまいました。明治32年2月7日、福岡を訪れていた岡倉天心は、福岡日日新聞の取材に応じて、九州博物館の必要性を説いています。
それ以来、実に多くの方々の誘致運動によって、平成17年10月、九州国立博物館はここ太宰府に開館しました。
現在、総来館者数は1900万人にのぼります。この秋、当館がめでたく開館20周年を迎えられるのも、ひとえに皆様がたの永きにわたる温かいご支援の賜物に他なりません。ここに厚く御礼を申し上げます。
当館では、本年の元日から来年の3月31日までをアニバーサリーイヤーと位置づけ、さまざまな企画を実施しています。太宰府天満宮からのアクセストンネルは、斜行リフトを斜行エレベーターに刷新し、利便性もさらに向上しました。
社会的包摂が叫ばれる昨今、当館は全ての方々に愛される、より親しみやすい博物館を目指して、職員が一丸となって努力を重ねる所存です。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

九州国立博物館長
富田(とみた)淳(じゅん)