- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県太宰府市
- 広報紙名 : 広報だざいふ 令和7年8月1日号
◆真夏に熱々のスープ?韓国のサムゲタン
太宰府市国際交流員
金辛泫(キムシンヒョン)
韓国には「伏日(ボッナル)」と呼ばれる、日本の「土用の丑の日」に似た日があります。伏日(ボッナル)には「初伏(チョボッ):夏の暑さが本格的に始まる日」「中伏(チュンボ):1年の中で最も暑い日」「末伏(マルボッ):暑さが徐々に和らぎ始める日」の3つがあります。毎年7月中旬~8月中旬にかけて訪れるこの時期に、韓国人は「参鶏湯(サムゲタン):鶏を丸ごと煮込んだ薬膳スープ」を食べる習慣があります。
サムゲタンは、鶏の腹に高麗人参・ナツメ・ニンニク・もち米などを詰め、長時間煮込んだ栄養満点の料理で、疲労回復や滋養強壮に効果があるとされています。暑さに負けない体を作るため、あえて熱いスープを食べる「以熱治熱(イヨルチヨル)」つまり“暑さには暑さで対抗する”考え方が根付いています。一見矛盾しているように思えるかもしれませんが、汗をかいて体温を調整し、体の内側からバランスを整える発想は、韓国の長い歴史の中で培われた生活の知恵なのです。
こうした意味から、サムゲタンを食べながら「初伏」で体力を補い、「中伏」でさらに強化し、「末伏」で締めくくるの考え方が韓国に根付いています。会社の福利厚生として社員に昼食でサムゲタンを提供する企業もあるほど、現代でも多くの韓国人がこの伝統を守りながら、夏の暑さを乗り越えています。
※韓国語のハングル表記は本紙17ページをご覧ください。