文化 大宰府の文化財vol.483

■特別史跡水城跡の整備〜環境整備事業〜

7世紀後半、朝鮮半島で戦いがくり広げられ、百済(くだら)救済に向かった日本は、663年に白村江(はくそんこう)の戦いで唐(とう)・新羅(しらぎ)の連合軍に敗れます。その後664年に、朝鮮半島に近い福岡平野に大野城などとともに防衛施設として水城が築かれますが、中世以降はその役割を終え、現在に至ります。現在の水城跡は、木々が広がり、季節ごとに見せる草花に彩られ、市民に親しまれる緑地帯となっています。
この中で、史跡の適切な保存・活用のため、水城跡が位置する太宰府市・大野城市が共同で平成27年に「特別史跡水城跡保存整備基本設計」を策定しました。この計画に基づいて両市は整備事業を進めています。本市の事業では、水城館や広場・園路の整備のほか、環境整備のために樹木の剪定・伐採をしています。大きくなりすぎた木々が与える史跡への負担を軽減し、台風などの自然災害による倒木を防いで史跡を保護するほか、史跡が見えやすくなり、より身近に史跡の姿を感じることができます。また、高い木の高さをおさえることで、史跡に負担の少ない中・低木が育ち、親しまれる緑地としての水城跡も維持しています。
このほか、天候で実施できないこともありますが、毎月1回、水城跡にしげる竹や雑草を整理する市民活動も行われ、市民の手による水城跡の環境維持活動が10年以上継続されています。市民活動「水城の会」による史跡の環境整備に興味のある人は、文化財課に問い合わせてください。
今後も、史跡を適切に保護・活用するため、環境整備を含め史跡整備をすすめ、より良い姿で史跡を後世に守り伝えていきます。

文化財課
沖田(おきた)正大(まさひろ)