- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県宮若市
- 広報紙名 : 広報みやわか「宮若生活」 No.238 2025年11月号
挑戦者「きらびと」拡大版 Beyond the Limits -私立飯塚日新館中学校の剣道部-
◆あと一歩届かなかった日本一の夢
あの日の悔しさが、私たちを強くする
坂井海月 Mizuki Sakai × 縄田都己香 Tsukika Nawata
8月23日から25日にかけて宮崎県都城市で行われた「第五十五回全国中学校剣道大会」女子団体戦に、飯塚日新館中学校が初出場を果たした。全国から強豪校が集う中、初の舞台ながらも勢いを止めることなく勝ち進み、ついには決勝戦へと駒を進めた。結果は惜しくも日本一の称号にあと一歩届かなかったものの、その堂々たる戦いぶりは会場中を沸かせ、観る者の胸を熱くした。勝利への執念、信頼する仲間、支えてくれた人々への感謝――そのすべてが竹刀を振るう姿に込められていた。今回は、チームを支えた二人の女子剣士に、努力の軌跡と未来への思いを聞いた。
「面!」という掛け声が響く体育館。私立飯塚日新館中学校の剣道部で、ひときわ真剣なまなざしを見せる坂井海月さん(右)と縄田都己香さん(左)。全国大会で活躍した二人ですが、学校での姿は意外にもごく普通の中学生。教室では笑い声が絶えず、友達と過ごす時間を何よりも大切にしています。
「勉強は苦手なんですけど、体を動かすことが大好きで、昼休みになるとみんなでバレーをして遊んでいます。クラスマッチも近いので、引退しても運動はするようにしています」と、笑顔で話すのは、飯塚日新館中学校三年生の坂井海月さん。
「学校生活の中で、給食の時間が一番好きなんです。特に白米が大好きで、おかわりは絶対にします」。少し恥ずかしそうにそう話すのは、同中学校三年生の縄田都己香さん。
ともに宮若市出身で、幼い頃から市内の道場に通い、竹刀を交えてきた二人。大会では何度も互いに打ち合い、時にはライバルとして、時には支え合う仲間として成長してきました。そんなお互いのことについて、海月さんはこう話してくれました。
「私は心配性で、いろんなことを想定して動くタイプなので、クラスのみんなからは、『お母さん』って呼ばれています。都己香からは、『心配しすぎ』ってよく言われるんですよ。そんな私と違って都己香はめっちゃ素直なんです。いい意味でまっすぐ突っ走るタイプで、私とは正反対。でも、私が落ち込んだらすぐに気づいてくれて、励ましてくれる大切な存在です。
ただ、剣道になったら話は別です。都己香は人一倍練習をするんですよ。顧問からの言葉を素直に受け止めて技を磨くんです。そんな姿を見ると私も負けたくなくて、都己香の二倍練習していました」。
それを聞いた都己香さんは笑顔で応じます。「海月は最初からレギュラーだったんですよ。私はそれが悔しくて悔しくて、海月より練習してうまくなって、レギュラーを勝ち取ろうとしていました。そしたら、海月も負けじと練習しているんですよ。お互いがお互いを刺激し合って、技術を高め合ったからこそ、全国の舞台に立つことができて、そこで記録も残せたんだと思います」。
努力と絆で全国に進んだ二人。次に語ったのは、剣道への深い思いと全国大会への思いでした。
