くらし あさくらびと No.41

地域で話題になっている人や団体、企業などを紹介するシリーズ。
第41弾は、共星の里黒川INN美術館の皆さんを取材しました。

■Interview
共星の里黒川 INN 美術館 代表 尾藤(おとう)長司(ちょうじ)さん
副代表 尾藤悦子(えつこ)さん
アートディレクター 柳和暢(かずのぶ)さん
共星の里は平成12年に開館。尾藤悦子さんは黒川小学校の卒業生で、夫の長司さんと長司さんの高校時代の美術部の先輩である柳さんととともに共星の里を始める。

■アートと自由に対話し、楽しめる場所
◇星のように輝きながら生きる
平成12年に誕生した共星の里は、山里の廃校を活用した現代アートが楽しめる異色の美術館です。平成7年3月に廃校となった黒川小学校の活用企画の募集に、この美術館を提案し採択されました。共星の里という名前には「ここに集うみんなが星のように輝きながら生きていけるように」との思いを込めています。
共星の里は「人と自然とアートの融合」「二つのソウゾウリョク(想像力・創造力)を高めよう!」をキーワードに、主に3つの活動を展開しています。メインの「黒川INN美術館」では、これまで150本の展覧会を開催し、国内外のアーティストの作品を紹介。屋内外に多くの現代アートを展示しています。さまざまなアート体験ができる「ワークショップ」では、子どもから大人まで気軽にアートを楽しめます。100年以上前に製造されたエジソンの蓄音機や昔のレコードプレーヤーが並ぶ「メモリアルサウンドルーム」では、当時の生音を聴くことができます。

◇災害の記憶を伝える
共星の里は、平成29年九州北部豪雨で被災。屋外にある作品が流木と土砂を食い止め、壊滅的な被害は免れましたが、共星の里周辺では甚大な被害が発生し、しばらく閉館することも覚悟しました。
そんな中、黒川小閉校時に在校生が校庭に埋めたタイムカプセルが寺内ダムで発見されました。地元の人からは「タイムカプセルをここで開封したい」との声があがりました。全国から再開を望むボランティアの皆さんなど多くの支援もあり、無事に開封式が行われ、翌年3月1日には再開できました。
現在、被災したピアノを当時の状態で展示し、流れ着いた巨石を利用し復興ガーデンとして再生するなど、災害の記憶も伝えています。

◇心を開放し一旦ゼロに
共星の里は、国内外で活躍するアーティストの作品を所蔵し、アートファンが集まる場所です。作品を鑑賞する人に解説はしますが、集中している場合はお声掛けせず、ゆったりとした時間を過ごしていただいています。“現代アート”と聞くと難しいイメージを持つ人もいるかと思いますが、共星の里では「作品がどんな風に見えるかを大切にし気楽に楽しんでほしい」と考えています。作品と自由に対話することで心は変化します。皆さんの心を開放し一旦ゼロに――。そんな場所を今後も守っていきたいと思います。

■共星の里 黒川 INN 美術館
◇豊かな自然が広がる山里の美術館
開館日時:水曜日~日曜日11時~17時
休館日:月・火曜日(祝日の場合は翌日振替)
※4月1日(火)までは冬季休館期間
入館料:大人500円小・中学生300円

◇開館25周年企画展
「船尾修写真展The Great Indus」
船尾修は約25年間かけて、インダス川流域の風土や自然、文化などカメラを向けてきました。大河インダスの全貌を生き生きとした写真でお楽しみください。
期間:4月2日(水)~6月29日(日)「船尾修トークイベント」
日時:5月3日(土・祝)14時~

問合せ:(黒川1546-1)
【電話】29-0590