文化 芦屋歴史紀行 その三百四十九

■芦屋の地層と化石(3)
新人学芸員が、芦屋町の歴史を基本から探る不定期連載第5回をお届けします。今回で、芦屋の地層と化石は最終回です。

◇飛べない鳥プロトプテルムの化石
芦屋層群で見つかった化石の中で特に有名なのが、海鳥の「プロトプテルム」です。約4100万年前に北太平洋域に生息し、約1500万年前に絶滅したと考えられています。プロトプテルムは、体長が約130cmある「鵜(う)」に似た大きな鳥です。プロトプテルムは鳥の仲間ですが、空を飛べず、ペンギンのように水中を泳ぐため、「ペンギンモドキ」とも呼ばれています。

◇サメの歯の化石
芦屋層群からは、サメの歯の化石が見つかります。普通は1cmほどの小さな歯の化石ですが、最大7cmのものが見つかることもあります。これは、「カルカロドン」というサメの歯で、現代のホホジロザメの仲間です。現代のホホジロザメの歯の大きさ約4cmと比べると、カルカロドンがいかに大きなサメであったかがわかります。

◇骨質歯鳥(こつしつしちょうるい)類の化石
「骨質歯鳥」とは、ペリカンの仲間で両翼の長さが6mある海鳥です。約5600万年前に生息し、人類が出現する200万年前に絶滅したと考えられています。ペリカンのような大きなくちばしに、歯のようにギザギザとした突起が並んでいることが、名前の由来となっています。日本では、全国7カ所の地点から化石が発見されています。芦屋層群では、水巻町の地点で発見されました。

◇クジラの化石
芦屋層群と同じ3000万年前は、現代型のクジラが出現した時代です。現代のクジラは、シロナガスクジラなどのヒゲクジラ(髭鯨)類や、マッコウクジラやイルカなどのハクジラ(歯鯨)類に分類されます。どちらも3000万年前、芦屋層群と同じ時代に出現しています。この時代のクジラ化石がたくさん見つかる場所は、ニュージーランドやアメリカ太平洋沿岸、北九州地方など限られています。

全3回でお届けした、芦屋の地層と化石はいかがでしたか。歴史の里では、芦屋層群の化石を展示していますので、見に来てください。
(芦屋歴史の里)