- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県唐津市
- 広報紙名 : 市報からつ 令和7年3月号(Vol.242)
◆「唐津の記念物」35~唐津の史跡・名勝・天然記念物~
岸岳古窯跡(きしたけこようあと)道納屋窯跡(みちなやかまあと)(佐賀県指定史跡)
相知と北波多にまたがる、標高約320mの岸岳山麓(さんろく)には、岸岳古窯跡群とよばれる古唐津の窯跡が点在しています。
岸岳の山頂部には、上松浦(かみまつうら)地方の中心勢力であった波多(はた)氏が本城としていた波多城跡が立地し、その麓(ふもと)の相知側では道納屋窯跡のほか、大谷窯跡(おおたにかまあと)、平松窯跡(ひらまつかまあと)の3つの窯跡が、北波多側では皿屋(さらやかまあと)、皿屋上窯跡(さらやかみかまあと)、帆柱窯跡(ほばしらかまあと)、飯洞甕上窯跡(はんどうがめかみかまあと)、飯洞甕下窯跡(はんどうがめしもかまあと)の5つの窯跡が確認されています。このうち、北波多側の5つの窯跡は国の史跡指定を受けていて、道納屋窯跡は平成172005年に佐賀県の史跡指定を受けています。
道納屋窯跡がある相知町佐里(さり)地区の言い伝えによると、昭和221947年頃までは窯の上部構造が数か所残っていたようですが、残念ながら現在は残っていません。道納屋窯跡は、岸岳から南方に伸びる丘陵裾部(きゅうりょうすそぶ)、標高約49〜62m間の南東向き斜面地に築かれていて、調査の結果、燃焼室(胴木間(どうぎま))と9つの焼成室(房)を確認し、全長34.5m、勾配角約21度の連房式登窯(れんぼうしきのぼりかま)と想定され、全部で15室前後の焼成室があったのではないかと考えられています。調査では、さまざまな意匠が施された絵唐津片31点が出土していて、大半は皿類が占めますが、碗や火入れのほか、向付(むこうづけ)や小杯(しょうはい)、壺と思われる器種(きしゅ)の出土も確認されています。
問合せ:生涯学習文化財課
【電話】72-9171