文化 おぎの歴史探検隊

■昭和小史〈1〉 小城を訪れた昭和天皇
昭和天皇が、敗戦で焦土と化した日本各地を訪ねる全国巡幸に出発されたのは昭和21年2月のこと。これは戦禍で傷ついた国民の心を慰め、復興に立ち上がるよう励ますためでした。ソフト帽に背広姿で気さくに人々とお話しになる昭和天皇を、全国の人々は熱狂的に歓迎しました。
九州への巡幸が行われたのは昭和24年。佐賀への行幸は、5月22日から24日までの3日間で、このうち初日の22日に小城を訪問されました。佐賀市内や高木瀬村の巡察を経て、16時、小城に到着された昭和天皇はまず、駅のすぐ東側にあった片倉工業小城製糸所を訪問。工場内で製糸過程を視察し、工員たちを激励されました。
この後、西小路の小城共同授産所へと移動。昭和天皇をお出迎えしたのは、小城鍋島家の当主で元子爵の鍋島直庸(なべしまなおつね)氏と清子(すみこ)夫人でした。共同授産所とは、引揚者や戦災の罹災者、遺族などが共同で働く場所で、小城では50人の従業員が和傘を作っていました。組合長の説明を受けて、昭和天皇は和傘製造の様子をご覧になり、人々にお言葉をかけられました。
この間、小城での視察時間は40分。分刻みの強行軍でしたが、そこからは寸暇を惜しんで国民に接しようとされる昭和天皇と、町を上げて歓迎する人々の姿が浮かんできます。(続)

小城郷土史研究会/著