- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県基山町
- 広報紙名 : 広報きやま 2025年9月号
荒穂の神々の御神幸は、室町時代の記録から見ることができ、長きにわたって人々によって受け継がれてきています。
今年は、9月23日が秋分の日。この日に、荒穂神社の御祭神である荒穂大明神・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)様の神々が、秋の実りと民の暮らしぶりをご覧になるため、御神幸(おみゆき)されます。
この御神幸祭は、(1)地域固有の歴史ある人々の活動、(2)人びとの活動が行われる歴史的な建造物、そして(3)御神幸の道の両側に広がる稲実る田んぼの3つが合わさった「御神幸祭にみる歴史的風致」として、毎年催行されています。
「御神幸祭にみる歴史的風致」は、単にお祭り当日のみで語られるものではなく、御神幸道中の『結界(けっかい)』を示すしめ縄の素材調達からしめ縄打ち、そしてしめ縄張り。お仮殿と御本殿の前で執り行われる奉納芸能の携わる各演舞の皆さまの道具調達、演舞の練習、そして祭当日までの数々の神事全てで構成され、実に多くの方々のお力とご尽力によって成り立っています。
これら多くの人びとの活動によって支えられている行事として、基山町の「御神幸祭にみる歴史的風致」はあるのです。
■御神幸された荒穂の神々に奉納される伝統芸能
災払:仁蓮寺の少年、青年によって奉納され、棒術で災いを払いのける役割を担います。
鉦風流:西長野の子どもたちも含めた総勢50人ほどで奉納され、荒穂の神々の御神幸を人々に伝えます。
獅子舞:向平原、辻、引地、一井木、田中の人々総勢50人ほどで奉納されます。二人の子どもが演じる獅子釣りが荒ぶる獅子を操ります。
大名行列:住吉、不動寺、才ノ上の人々によって奉納され、立傘、台傘、白羽熊、挟箱、黒羽熊で舞う大名行列です。
■御神幸祭にみる歴史的風致を維持向上する
上に示した各演舞の写真(令和5年・6年)をみていただくと、荒穂の神々の御旅所であるお仮殿の屋根にブルーシートが掛けられています。昭和48年(1973)に寄進されたお仮殿は、屋根材が老朽化し雨漏りが確認されました。シートがかけられたお仮殿前での演舞では、演舞の素晴らしさが引き立ちません。
そこで基山町では氏子総代役員の皆さまと協議し、国土交通省の補助金を活用して、令和6年にお仮殿の建物調査を行い、雨漏りの原因箇所、表面化していない建築材の腐朽箇所を確認し、秋の御神幸祭が終わると同時に、修理にとりかかりました。
ここにも多くの皆さまのご協力とご尽力によって、令和6年12月には修理が完了しております。併せて、お仮殿までの上りの道も歴史的な景観整備を行い、御神幸祭の歴史的風致を一層引き立てています。
写真は本紙をご覧ください。