くらし 輝く島原人 THE SCENE Vol.95 島原に生きる

■伝統がつなぐ地域の絆

「人生の達人」上田武寛(うえだたけひろ)さん(64)
昭和35年、白土桃山二丁目で生まれる。小学生から西八幡町へ移り、地元高校卒業後は修行のため県外で就職していたが、家業である屋外広告業(しろはと工社)を継ぐため26歳で帰郷。生業の傍ら少年サッカーの指導や育友会活動、スポーツ推進委員、消防団活動などにも尽力。現在、白山地区青少年健全育成協議会会長として、各種行事や伝承活動を通じて地域の子どもたちの健全育成活動に取り組む。
白山地区青少年健全育成協議会会長(R5~)、白山地区自主防災会副会長(R3~)、島原市スポーツ推進委員協議会副会長(R2~)、長崎県スポーツ少年団指導者協議会会長(R6~)。島原市教育委員会表彰(H25)、島原市表彰(R2)、長崎県体育指導員功労者表彰(H25)、九州スポーツ推進委員功労者表彰(R2)など。西八幡町在住

三百年以上の歴史がある島原の精霊流し。白山地区青少年健全育成協議会では、伝統の継承、ご先祖様への感謝の気持ちや郷土愛を育んでもらおうと、精霊船・切子灯籠の制作と精霊流しを体験する「子ども精霊船」を毎年行っています。
「昭和61年に始まり、今年で40年目になります。白山地区ならではの取り組みです。今年は船作りの日が大雨となり、残念ながら実施を断念しましたが、来年はたくさんの参加を期待しています。」と、語るのは白山地区青少年健全育成協議会会長の上田武寛さんです。
令和5年から会長として地域の健全育成活動に取り組む上田さん。「子どもが小・中学生校の頃は育友会を通じて青少協活動に参加していました。また、白山サッカー部の指導やスポーツ推進員としても地元の子どもたちと長く活動をしてきました。前会長から後任をお願いされたときは、私で出来るだろうかと不安もありましたが、お願いされるということは期待されているということ、自身にとってもプラスになることだと前向きに捉えて白山地区の子ども達の為ならと受けることにしたんです。」と、笑顔で語ります。

▽思い出に残る体験活動を
会ではさまざまな活動を行っていますが、一番のメイン行事は子ども精霊船だと言います。
「昔は町内会で精霊船を出すのが当たり前でしたが、時代とともに町内会や個人で出すところも減ってきました。故郷の伝統行事を継承していくためには、子どもたちに実際に体験してもらう場を大人が提供することは大事なことだと思います。精霊船を見ることは簡単に出来ますが、地域の大人と一緒に船を作り、切子灯籠を作り、そして自分たちで担いで海に流す。老人クラブをはじめ多くの地域の皆さんにご協力をいただき、準備も大変ですが、これからも大切に続けていきたい行事です。」と、語ります。
今後の展望についてお聞きすると、「会長になった年がコロナ禍明けの事業再開の時期でしたが、4年ぶりの実施は育友会の役員さんも変わり、改めて周知するのが大変でした。子ども精霊船に限らず活動を通して思うことは、子ども達にはいろいろな体験をしてほしい、また、忙しいとは思いますがぜひ親子で参加していただきたいということです。そして子どもの頃に体験した思い出を、次の世代に引き継いでもらいたいです。少子化や高齢化などの課題もありますが、これからも継続して実施していけるような方法も検討しながら地域ぐるみで取り組んでいきたいです。」と、活動にかける思いを語っていただきました。