- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県対馬市
- 広報紙名 : 広報つしま 令和7年6月号
■多久頭魂神社の経典
多久頭魂神社(たくずたまじんじゃ)(厳原町豆酘)に伝わる国の重要文化財「高麗版一切経附大般若経(こうらいばんいっさいきょうつけたりだいはんにゃきょう)」についてご紹介します。
この一切経には、印刷時期や対馬への伝来を示すような墨書(ぼくしょ)などがないため、詳細な来歴はわかりませんが、1458年(朝鮮王朝時代)に印刷された増上寺(東京都)が所蔵する再彫版(さいちょうばん)と文面が類似することが判明しています。大型の袋綴じ冊子装(さっしそう)という形態と修理痕が見られないことから、印刷当初の姿のまま伝えられてきたと考えられています。また、3巻2帖(じょう)1016冊(附(つけたり)324帖)もの膨大な数が一括で対馬に残存していることや、本紙に多様な色や原材料から作られた料紙(りょうし)が使用されていることも大きな特徴です。
附(つけたり)の大般若経は、15世紀中頃(室町時代)の日本で印刷された経典で、一切経とともに保管されてきました。こちらは対馬島主・宗貞盛(そうさだもり)、成職(しげもと)の墨書があり、前回ご紹介した元版般若経(げんぱんだいはんにゃきょう)と同様に対馬宗氏の手で、神社に安置されたと考えられます。
高麗版一切経は虫喰いや雨水などによって状態が大変悪く、現在修理中です。1期3年間につき100~150冊を対象としており、現在第3期の2年目に当たります。全て完了するまで、30年以上の年月を要する大事業です。
問合せ:文化財課
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