しごと 〔特集1〕まちを支える人 #2 (2)

○このみ農園 許斐 民仁(このみ たみひと)さん
Q:就農したきっかけを教えてください。
福岡の自動車販売店に勤務していましたが、実家の両親が作った野菜が好評で、個人販売を始めたことがきっかけで、いつかは壱岐に帰ってきたいという思いもあり、平成26年にUターンしました。

Q:スマート農業導入のメリットを教えてください。
水やりや管理にかかる労力が大幅に軽減されたことです。以前は、1時間かかっていた作業が0分になりました。雨の日には水やりをしない、暑い日には多めに与えるといった判断もシステムが自動で行ってくれます。導入することで、収穫量も増加しています。様々な兼ね合いがあるとは思いますが、挑戦することで得られるメリットも十分にあるため、導入を検討してみるのも良いと思います。

Q:多くの有名ホテルやレストランで「このみ農園」のアスパラガスが使用されるようになった経緯を教えてください。
当初は、インターネットオークションで個人販売していましたが、事務作業の大変さに直面し、知人の紹介で直接飲食店に卸すようになりました。一流のシェフに食べてもらい、品質を知ってもらうことで、シェフからシェフへと紹介が広がり、販路を拡大しています。現在は、農協の他にも、福岡、大阪、東京の飲食店に卸しています。

Q:今後の展望について教えてください。
品質向上と高単価での販売を目指したいと思っています。少子高齢化が進み、人手が不足する現代において、目の届く範囲で高品質なアスパラガスを生産することで、持続可能な農業を実現していきたいと考えています。

Q:新規就農を考えている人へのアドバイスをお願いします。
農業経営の厳しさに負けない強い覚悟が必要ですが、努力すればするほど大きなリターンが得られるやりがいのある仕事です。農協や行政からのサポートも手厚く受けることができます。

○壱岐市農業協同組合 営農部 農産園芸課 松嶋 新(まつしま しん)さん
Q:農業指導員の役割について教えてください。
その名のとおり「農家を導くこと」です。主な業務は、作物の栽培指導であり、品質のいいものを作るためのアドバイスを行います。基本的には、農家の方々の畑を巡回し、品目ごとに専門の担当者が個別の状況に応じた指導を行っており、月に一度程度の集合指導も行います。

Q:スマート農業の導入について、どのような取り組みをされていますか?
施設(ハウス)品目においては、先進的にスマート農業技術の導入が行われています。特にアスパラガスやイチゴの栽培では、生育やハウス内の状況をモニタリングしながら、環境制御技術を活用し、植物に最適な環境を整えることで、収量や品質の向上を目指しています。その他の品目に関しては、まだスマート農業の導入は限定的ですが、お米やジャガイモなどの栽培においては、土壌分析に基づいた施肥設計やドローンを活用した防除などの取り組みも徐々に始まっています。

Q:スマート農業以外に、農業振興のためにどのような取り組みをされていますか?
共同選果という取り組みで、農家が収穫した作物を集め、農協で箱詰めなどの出荷調整を行っています。それにより、農家が栽培に専念でき、より高品質なものを生産することや作付け面積を拡大できる環境づくりを行っています。
販売については、これまで主に市場流通(東京、大阪、福岡の市場)が中心でしたが、市場外流通の開拓にも力を入れています。市場外流通として契約販売を推進し、価格の安定化を図っています。特に新しいブランドじゃがいも「壱岐黄金」は、戦略として契約販売での価格の安定化に挑戦しています。

Q:今後はどのような課題に取り組んでいく必要がありますか?
国の政策としてもスマート農業の導入が推進されているため、この流れに乗っていく必要があります。スマート農業に興味を持つ農家に対しては、積極的に情報提供や技術支援を行い、成功事例を増やしていくことが重要だと考えています。スマート農業技術の導入をさらに進め、農家の労力軽減と収量増加や品質向上を目指していきたいと考えています。

問合せ:
一緒に推進課 共創推進班【電話】47-1137
農林課 農林振興班【電話】44-6112