くらし 長崎県立大学 シーボルト校研究紹介 Vol.49

長与町に立地する長崎県立大学シーボルト校。すぐ近くの大学でどのような研究が行われているかをシリーズで紹介していきます。

◆低エネルギー甘味料はヒトの食欲感覚を満たすことができるのか?
看護栄養学部 栄養健康学科
本郷 涼子 准教授

低エネルギー甘味料はアセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、マルチトールなど、数多くの種類が普及しており、飲料やお菓子などの加工食品に広く利用されています。低エネルギー甘味料の生体利用性は様々で、摂取後にエネルギー源として利用されず97.5%~100%が尿中に排泄されるものや、マルチトールのように消化吸収を免れて大腸に到達し、その75%が腸内細菌に発酵されエネルギー源になるものもあります。甘味が舌上の味細胞で受容されるのに対し、満腹感を感じるか否かは栄養の感知機構(甘味料のエネルギー量、摂食調節ホルモンの分泌、血中のブドウ糖濃度の上昇による脳への刺激、神経系など)がかかわることから、より多様かつ複雑です。
本研究室では、ヒトにおいて低エネルギー甘味料摂取後の満腹感を明らかにし、加えてその要因を検討しています。研究室で行った研究により、低エネルギー甘味料の中にはショ糖と同等の満腹感が得られるもの、満腹感が得られないものがあることが明らかになっています。現在は、甘味料の種類によって主観的食欲感覚が異なるその機序を、ヒトの血中成分、胃からの排出速度、代謝を測定して解明しようとしています。
低エネルギー甘味料を用いた加工食品を肥満治療の一環として利用するには、摂取後の空腹感の解消は必須ですが、低エネルギー甘味料は味覚と摂取エネルギー量が一致しないため、ショ糖などのヒトが本能的に好む甘味料の感覚機能をどこまで代替できるのか明らかにする必要があります。甘味料の種類によっては、摂取数時間後の満腹感が高まる可能性があり、肥満治療に活用できる可能性も考えられます。減量に効果的な食品の選択による治療は、特別な機器類や治療薬を要さないため、メタボリックシンドローム患者数と医療費が増大し続ける我が国においても、経済効率のよい実用化しやすい治療法になると考えます。

※詳しくは本紙P.30をご覧下さい。