文化 第125回 温故知新 ~うと学だより~

■東京の宇土ゆかりの地(2)
今月の「うと学だより」は、前回に引き続き、東京にある宇土ゆかりの場所を紹介します。

1.江戸城跡(千代田区千代田)
江戸時代に政治の中心だった江戸城は多くの歴史の舞台になりました。
元禄14年(1701)に江戸城内で赤穂藩主(あこうはんしゅ)・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が吉良上野介(きらこうずけのすけ)に刀で斬りかかった赤穂事件で、負傷した吉良の治療にあたった医者が、宇土郡栗崎村出身の栗崎道喜(どうき)を祖父に持つ栗崎道有(どうゆう)でした。
天保14年(1843)に江戸城内で開催された第12代将軍・徳川家慶(いえよし)の上覧(じょうらん)相撲では、栗崎村出身で第8代横綱の不知火諾右衛門(しらぬいだくえもん)が結びの一番で東大関の劔山(つるぎやま)を破りました。勝った不知火には将軍から弓が授けられ、土俵上で豪快な弓取りを披露しました。
あまり知られていませんが、江戸城本丸があった現在の皇居東御苑には都道府県の木があり、熊本県は県木であるクスノキが植えられています。
[最寄駅]東京メトロ 大手町駅ほか

2.常盤橋御門跡(ときわばしごもんあと)(千代田区大手町)
江戸城の内堀と外堀には大小100以上の城門があり、大名や旗本が交代で各城門の警備にあたりました。常盤橋御門は宇土藩が警備した門の一つです。江戸城内堀の正門にあたる大手門に対し、常磐橋御門は外堀の正門として位置付けられた軍事上重要な門でした。
櫓(やぐら)などの建物は失われましたが、石垣は現在も残されています。
[最寄駅]東京メトロ 三越前駅

3.神田(かんだ)スクエア(千代田区神田錦町)
明治25年(1892)に宇土鶴城学館に初の女性教師として採用された嘉悦孝子(かえつたかこ)は、衆議院議員になった父・氏房(うじふさ)ととともに翌年上京し、明治36年、神田錦町に日本初の女子専門の商業学校として私立女子商業学校(現在の嘉悦大学の前身)を創設しました。
夜間学校だった東京商業学校の昼間の空き教室を借りて授業を行いました。現在は複合型オフィスビル「神田スクエア」が建っています。
[最寄駅]東京メトロ 小川町駅

4.深大寺(じんだいじ)(調布(ちょうふ)市)
境内(けいだい)に宇土出身の俳人・篠原温亭(しのはらおんてい)(本名英喜)の句碑があります。徳富蘇峰(とくとみそほう)が設立した東京の国民新聞社に入社後、俳句の創作を始め、正岡子規(まさおかしき)や高浜虚子(たかはまきょし)に師事しました。亡くなるまでのおよそ30年間で4000以上の俳句を作りました。創作のかたわら調布俳句会では会員たちの指導も行い、その縁から亡くなった翌年の昭和2年(1927)に弟子たちによって句碑(はぜ栗(くり)の落(お)つれば拾(ひろ)ふ住居哉(すまいかな))が建立されました。
[最寄駅]京王線 調布駅

問合せ:文化課 文化係
【電話】23-0156