- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県高森町
- 広報紙名 : 広報たかもり 令和7年8月号
~互いの人権を尊重し、支え合うことから~
◆「終戦から80年」が意味するもの
8月に入り、今年もまた15日の終戦記念日を迎えます。特に今回は、戦後80年の節目の年でもあります。つまり、70歳代までの方々は、誰もがあの太平洋戦争を経験していない世代となったわけです。しかし逆に言えば、祖父母や親から、これまでいろいろな機会に戦争の悲惨さを伝え聞いてこられた世代であるとも言えます。
私も子どもの頃、夏になるとよく祖母や母親から戦争の話を聞かされていました。「空襲の時に敵機が飛来して、機関銃でダダダダーッて地上の人ばなぎ倒すように機銃掃射(きじゅうそうしゃ)してきた時は、たいぎゃあ怖かったばい。」と語る祖母の体験談には、さすがに身が引き締まるほどの恐怖感を感じたことを覚えています。また、母から聞いた話では、戦争が激しくなると食料が不足していたため、運動場をみんなで耕し、からいも(サツマイモ)を作っていたこと、女学校時代、下関市へ連れて行かれ、軍需工場でみんなで働いていたことなどの内容が特に印象に残っています。当時の私はそれほど深く受け止めることなく、子ども心に「勉強せんでいいから、よかろう」と思ったことさえありました。しかし大人になって考えてみると、母は、激戦が続く太平洋戦争の末期に、労働力不足を補うための「学徒勤労動員」と称して生産現場の第一線に立たされ、その中で、お国の勝利を信じてやりたいことを我慢しながら青春時代を送っていたことを理解できました。
◆戦争の記憶を風化させないために
戦争を体験した方々の想いはとても貴重である反面、苦しく悲しい記憶の積み重ねでもあります。多くの人が亡くなり、言葉では言い尽くせない悲惨さを体験されています。もし、体験談を語っていただける方が近くにおられるとしたら、戦争を知らない私たちの世代は、その方たちにしっかり寄り添い、その想いを正面から受け止めていくことが大切でしょう。そして、貴重な生の証言から得られた惨禍の記憶を受け継ぎ、更に「戦争を知らない」次の世代にバトンを渡していくことが求められます。
戦争は、最大の人権侵害であり、ひとたび戦争が起きれば、これを終わらせるのは容易ではありません。私たちは、改めて不戦の誓いをもち、二度と戦争を起こさない決意を共有し、争いのない平和な社会を築いていくことを目指していきたいものです。
問合せ:教育委員会 地域人権教育指導員
【電話】0967-62-0227