- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県日田市
- 広報紙名 : 広報ひた 令和7年7月号
■ハラスメント・シリーズ(1)「本質をみて」
「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」「最上級のあんぽんたん」「三流大学以下」。これは、ある自治体のトップが職員に向けて発した言葉です。このトップは「期待した提案や回答がなく、がっかりした気持ちの表現や叱咤激励だった」と言い訳していますが、ほかにも「育休を1年取ったら許さない」「いつ降格してくれるの」などのハラスメント発言もあり、そのすべてにおいて弁解、弁明を連発しています。
パワハラやセクハラが疑われたとき、加害側が発する言葉に「そんなつもりはなかった。指導の範囲、コミュニケーションのつもり」などがよく使われます。潔く非を認め、反省の意を表し被害側への謝罪などがあれば、たとえ許されない行為であったとしても被害側の心情も変わり、改善へとつながっていくはずなのですが。
厚労省によるパワハラの定義を要約すると、
(1)地位、人間関係などの優位性を背景とする言動
(2)業務上必要な範囲を超えた言動
(3)労働者の就業環境を害する言動((1)~(3)をすべて満たす)
とされており、そのうえで「判断基準」として、
・言動の目的が、職員(社員)の育成か、それとも嫌悪の感情や退職に追い込むものか
・言動の内容が業務の改善のために合理的か
・言動の内容に被害側に対する人格的な攻撃を含むかなどが示されています。
冒頭の事例のように、職場(組織)のトップや上司によるパワハラがあったとき、
・声を上げにくい、報復が怖い(恐怖感)ため、泣き寝入り状態が続く
・声を上げたとしても組織の中に、パワハラを調査・審議する体制が整備されていない
・体制が整備されていても、前出のような判断基準の精査など、パワハラの認定には時間を要する
などの理由から、被害側が休職や退職を選んでしまう「最悪な」状況になることがあるようです。
そのうえで厄介なのは、「まずは自分を見直せ」「多少の行き過ぎた言動をいちいちパワハラと言っていたらキリがない」など、被害側を責め、加害側を擁護する第三者の発言(意見)が聞こえてくることです。パワハラの本質を直視しない風潮は、日本社会の経済活動の停滞を招く危険性を含んでいます。
次号に続く…
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