くらし ぬくもり人権シリーズ No,112

■合理的配慮の提供の義務化
令和3年に障害者差別解消法が改正され、事業者による障がいのある方への合理的配慮の提供の義務化が、令和6年4月1日に施行され1年が経過しました。障害者差別解消法では、障がいのある方もない方も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会(共生社会)を実現することを目指しています。そのため、行政機関等及び事業者に対し、障がいのある方への障がいを理由とする「不当な差別的取り扱い」を禁止し、障がいのある方から申し出があった場合に「合理的な配慮の提供」を義務化しました。
では合理的配慮の範囲とはどのようなものでしょうか。
合理的配慮は、事業者等の事務や事業の目的・内容・機能に照らし、次の3つを満たすものでなくてはなりません。
(1)必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること
(2)障がいのない方との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであること
(3)事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと
※合理的配慮の提供については、その提供に伴う負担が過重でないことも要件となります。

◇具体的なケースで考えてみると…
飲食店で、車椅子利用の方から車椅子のまま着席したいという申し出があった場合、机に備え付けの椅子を片付け、車椅子のまま着席できるスペースを確保した。
また、飲食店において食事介助を求められたときに、その飲食店は食事介助を事業の一環として行っておらず介助を断るといった場合は、合理的配慮の提供義務に反しないと考えられます。
ただ、これらはあくまでも考え方の一例であり、実際には個別で判断する必要があります。そのためには、障がいのある方と事業者等が「建設的対話」を重ね、社会的なバリアを取り除くために必要な対応について、共に解決策を検討していくことが重要となります。
「共生社会」に向けて何ができるのか、私たち一人ひとりがこれからも考えていくことが大切です。

問合せ:生涯学習課
【電話】63-4817