文化 都城島津伝承館だより

■「北郷時久寺院定書案(ほんごうときひさじいんさだめがきあん)」
本史料は、弘治2(1556)年9月、都城島津家10代北郷時久が領内の寺院に対して出した定書で、本人直筆と伝えられています。
本史料には、寺の住職はその寺で学問を遂げた人物の中から檀那(だんな)(布施で寺を支える信徒)が決めることや、寺院外への庵(あん)の建立禁止、風紀を乱す者の会合への参加禁止など、寺院の運営と風紀について規制する内容が記されています。こうした法令は、北郷氏の自領統治の意図が強まったことを背景に定められたといわれています。
8代忠相(ただすけ)により都城盆地がおおよそ統一されて以降、北郷氏領内では行政や宗教組織の整備が進行。この時期には、北郷氏当主や重臣によって知行坪付(ちぎょうつぼつけ)(大名が家臣に与える知行地の所在を記した目録)などの公文書が度々発行されていて、このことからも北郷氏による自領統治が進んでいたことが分かります。当時の領主による地域支配の在り方をうかがい知ることができる貴重な史料です。

問い合わせ:都城島津邸
【電話】23-2116