健康 住み慣れた地域でいきいきと(1)

「人生100年時代」といわれている今、長く住み慣れた地域で自分らしく、元気に自立した生活を送るためには、「健康寿命」を延ばすことが大切です。健康寿命を延ばすには、いくつになっても健康づくりに関心を持ち、介護予防のための取り組みを楽しみながら続けていくことが重要です。
今回の特集では、健康寿命を延ばすための健康づくりのポイントや市の介護予防の取り組みなどについて紹介します。

■えびの市の現状
市の人口は年々減少傾向にあります。一方で、高齢化は年々進み、住民の約2人に1人が65歳以上の高齢者です。また、高齢者の2人に1人は75歳以上の後期高齢者となっています。
今後も高齢化が進むえびの市では、高齢者一人一人が、住み慣れた地域で自立した生活ができるだけ長く送れるよう、健康寿命を延ばす取り組みを進めていくことが大切です。

■健康寿命を延ばすには
高齢期になると、高血圧症や糖尿病などの慢性疾患(持病)を複数抱えやすくなりますが、これらの持病を悪化させると、心疾患や脳血管疾患などの循環器病や心身の衰弱、障害を招きます。また、これらの病気だけでなく、筋力や認知機能の衰えなど、心身の機能が低下した状態(フレイル)から、骨折・転倒、衰弱、認知症となり、要支援・要介護状態につながります。
高齢期の健康を維持し、健康寿命を延ばすためには、「持病を重症化させずにうまく付き合う」ことと「心身の機能を保つためのフレイル予防」に注意することが必要です。

▽健康寿命を延ばすためのポイント
(1)病気の予防・持病の重症化を防ぎましょう
高血圧や糖尿病などの慢性的な病気が重症化すると、心臓病や脳卒中などの深刻な病気や障害を招き、寝たきりなどの原因になってしまいます。生活習慣の見直しや定期的な健(検)診受診など、かかりつけ医等と連携しながら、生活習慣病の重症化予防に努めましょう。

(2)生活機能の維持・向上に努めましょう
日常生活を送るための機能全般を「生活機能」といいます。加齢などで心身の機能が低下することで、要介護状態に陥ることがあります。生活習慣病の重症化予防だけでなく、栄養バランスの整った食事を摂取し、定期的に体を動かすことが生活機能の維持・向上につながります。

■フレイルをご存じですか
加齢によって心身の機能が徐々に低下し、健康障害に陥りやすい状態のことを「フレイル」といいます。フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間の段階として位置付けられています。フレイルは、適切に予防すれば、要介護状態に進まずに健康な状態に戻ることができる可能性があります。
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。
フレイルを防ぐ3つのポイントは、「食事・口腔(こうくう)ケア」、「社会参加」、「運動」です。次のページから、自分で実践できる内容を紹介します。意識して取り組んで、フレイル対策をしましょう。

▽介護予防段階でのフレイルの位置付け

J-CHS基準をもとに作成
参考:Satake S,et al.Geriatr Gerontol Int 2020

■Interview 最期まで自宅で
えびの市立病院(内科・精神科)鈴木康義部長
有酸素運動と無酸素運動を行うと、体の中の神経伝達物質がたくさん出てきます。特に、アドレナリンやセロトニンがたくさん出ます。アドレナリンが出ると、体のエネルギーになり、元気・活力が出ます。また、セロトニンが出ると、気持ちが高まり、若々しさが保てます。これによって、体の血のめぐりも良くなり、体を健康に保つことができます。市が実施している百歳体操は、有酸素・無酸素運動ができる取り組みです。ぜひ、参加してください。
運動をするためには、かかりつけ医で定期的に診てもらって、体のメンテナンスをすることも大切です。それによって、運動の効果も上がり、病気の予防にもつながります。
若々しさを保ち、元気になれる循環をつくることで、最期まで自宅で幸せな人生を送りましょう。