- 発行日 :
- 自治体名 : 宮崎県三股町
- 広報紙名 : 広報みまた 2025年6月1日号
■民生委員活動で生み出された、温かみ
◆INTERVIEW
三股町 福祉課
課長 福永 朋宏(ふくながともひろ)
○相談支援体制の充実を図ります
昨年4月、孤独・孤立対策推進法が施行され、国は孤独・孤立に悩む人を誰1人取り残さない社会を目指して本格的に動き出しました。
町も、高齢者、障がいのある人や、ひとり親家庭など、地域で孤立しやすい人の自立と社会参加の促進を図るため、相談支援体制の充実を図っていくこととしています。そのため、孤独・孤立の状態にあるけれども声をあげられない人や、自分では気付いていない人の情報をキャッチしなければなりません。
その最前線で活動しているのが民生委員の皆さんです。現在、本町には43人の「民生委員・児童委員」と、3人の「主任児童委員」が活動しており地域住民と行政のつなぎ役として、日々、地域内を回っていただいています。
本年は3年に一度の「一斉改選」が行われます。今後も、民生委員制度や民生委員の活動にご理解とご協力をいただき、一緒に安心・安全な三股町を作っていきましょう。
■温かみが紡ぐ、人と人とのつながり
○地域に欠かせない、民生委員
大正6年(1917年)に岡山県で誕生した「済世顧問制度」が基礎となって生まれた民生委員制度。これは、当時の厳しい社会情勢の中、人々を生活困窮から救うために作られた制度です。
多様化が進む現代社会では、生活困窮のほかにも、児童虐待、引きこもり、認知症を患う人の徘徊、土地の権利問題、金銭や消費生活関係のトラブルなど、さまざまな問題が起きています。
本町でも、民生委員は、地域や家庭に困りごとが生じていないか確認する「見守り役」として、さらに、必要な行政機関などにつなぐ「つなぎ役」として、日々重要な役割を担って活動しています。
○何気ない会話に、温かみが
帰り際、山下さんが今村さんに問いかけました。「そういえば、今日お豆ご飯作ったの。グリーンピースで。よかったら、食べますか?」。今村さんは「いいんですか」と応じます。「後で持って来ますから。おにぎりにしましょうか?」と問うと、今村さんは「いいえ、そのままで大丈夫ですよ。ありがとうございます」と返しました。
何気ない、しかし、温かみのある会話です。それは、民生委員活動で生まれた出会いが、お互いを必要とし合う〝小さなつながり〟に成長したからこそ生まれた会話です。
民生委員制度には、先人たちが100年以上にわたり築き上げた信頼が備わっています。民生委員という立場だからこそ信頼され、助けを求める人に寄り添えるかもしれません。しかし、私たち全員が民生委員になるわけではありません。たとえ、民生委員という立場でなくとも、家族と、地域の人と、職場の人と、またはこれから出会う誰かと〝小さなつながり〟を生んでいくことは、1人の町民としてでも、できることです。
私たち一人一人が〝小さなつながり〟を生み続け、そんなつながりを連綿と紡いでいくことが「独居の時代」を乗り越えていく、大きな原動力になっていくのではないでしょうか。
■独居の時代
手を携え、共に乗り越えましょう