子育て 今村総合病院×垂水市 Ima Taru Vol.10

公益財団法人慈愛会と垂水市の包括連携協定のもと、今村総合病院の医師等の皆様にご協力いただき、市民の皆様の健康増進及び子育て支援啓発を目的に、4か月に1回、皆様にお伝えしたい情報をコラム掲載いたします。

■産後・育児期のメンタルヘルスケア~ママや周囲の人ができる事~
出産・育児・家事などの疲労や睡眠不足、新しい家族を迎えての生活環境の変化、育児中の精神的ストレスなど様々な要因が合わさることで、産後・育児期のママは心と体が不安定になりやすく、悪化すると産後うつにもなるため注意が必要です。

○育児・家事のサポートが大切
10か月におよぶ妊娠、そして出産は、ママが自分で意識するよりも体にダメージを与えます。産後はゆっくり体を休められるよう、育児・家事への周囲の協力が大切です。何を助けてもらいたいかは一人ひとり違うので、ママの気持ちをしっかり確認しサポートしましょう。特に、妊娠中・育児期の夫の行動を女性は一生忘れないものです。「育児家事は女性の役割」なんて思い込みを捨てて、夫婦ワンチームとなって子育て期を乗り切ることが、家族の明るい未来につながります。
家族のサポート以外にも、ファミリーサポートセンターや子どもの一時預かり、産後ケアなどの行政を主体とした子育て支援もあります。市の保健師や子育て支援センターでご相談ください。

○ママのこころもサポート
産後のママの心はとても繊細です。子育ては育児マニュアル通りにいきません。兄弟でも個性があり、ママとおばあちゃん世代では子育ての常識も環境も違います。ママは気持ちを話すだけですっきりすることもあります。周囲の人が、「アドバイス」よりも「傾聴・共感」を意識しながら日頃からママの話をよく聴くこと、赤ちゃんだけでなくママの頑張りにも目を向け認めたり褒めてあげたりすることが、ママの心のサポートにつながります。

○悩みや不安がある時は近くの専門家に相談
今はインターネットで何でも調べられる時代ですが、スマホを見過ぎると睡眠不足になったり不安になるような記事を読んでしまったりとデメリットも多いです。同じ悩みでも、その方の状況によって解決策が異なります。産後・育児期の悩みや不安は、医師・保健師・助産師・相談窓口への相談をお勧めします。

○「ママのSOSサイン」を見逃さない
「うつうつ、イライラ、心配が強い」「涙が出る」「母親失格だと思う」「子どもが可愛いと思えない」「疲労感が続き気力がわかない」「消えてしまいたい」。これらは、疲弊して産後うつになりかけているママの、心と体からのSOSサインです。「産後うつ」は7~10人に1人がなると言われています。遺伝的な要因やママの努力や根性が足りないといった、本人の問題ではありません。風邪をひくように誰でもおこりうる「病気」です。悪化するとママの健康だけでなく、家族関係や子どもの成長にも影響することがあるため、早めに専門家に相談し適切なサポートを受ける事が大切です。産後うつは自分で判断・行動することが難しくなる病気でもあるので、ママだけでなく家族や周囲の人も、「ママのSOSサイン」に気づいたら、一緒に産婦人科や子育て相談窓口に相談に行きましょう。大切なのは悪化させないことです。早期発見し適切なサポートを受けることで、ママと子どもの未来を守りましょう。

・垂水市産後ケア事業の詳細へ(二次元コードは本紙をご覧ください)

今村総合病院 産婦人科専門医
慈愛会垂水サテライトクリニック院長
貴島佳子

問合せ:保健課健康増進係
【電話】内線138