- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年8月上旬号
■後世に残したい思い。
[Interview2]戦跡の上に立つ子どもたちへ
山下勝義さん(86)
溝辺町在住
私は14年間、戦争の語り部として活動しています。今は子どもたちと一緒に市内の戦跡を巡るフィールドワークも行っています。中でも上床公園にある特攻兵の像を訪れるときは、特別な思いがあります。あの像のモデルは、私のいとこ・山下忠男。兵学校を出た優秀な青年で、特攻前に3日間だけ帰省しましたが、何も語らず笑顔のまま旅立ったと聞きます。戦死の知らせを受けた親は泣き崩れ、「あの子が生きていれば」と悲しげに話していました。特攻や空襲、防空壕の記憶。それは遠い昔の話ではありません。子どもたちはいつの世も変わらず、戦争の話を目の色を変えて聞いてくれる。そのまなざしに希望を感じながら、私はこれからも語り続けていきます。
[Interview3]筆に託された平和への思い
東中道幸司さん(60)
隼人町在住
父・幸雄は、戦時中や終戦直後の隼人町宮内地区の情景を思い出しながら、絵に残していました。戦争について語ることはなく、私も聞くことはありませんでした。きっとつらい記憶だったのだと子どもながらに感じていたからです。絵という形で残したのは、誰にでも伝わる手段で記憶を未来へつなげたかったからだと思います。戦時中の様子の絵には険しい表情の子どもたちが描かれていますが、戦後になると子どもたちの表情も柔らかく描かれており、印象深く感じます。この絵を戦争体験者に活用してもらって、語り継ぐ時に当事者たちにしか語れない奥深さを引き出すきっかけにしてほしいと思います。父の平和を願う思いが、誰かの肩を借りて未来へつながることを願っています。
■国分郷土館企画展「戦後80年~もの言わぬモノ達の物語~」
ひっそりと残っていた戦争を物語るモノ達を通して、80年前にここ霧島市にもあった戦争について考えてみませんか。
期間:9月28日(日)まで ※月曜休館。
場所:国分郷土館(国分上小川3819)
入館料:小中高生90円、一般180円
展示解説日時:8月17日(日)午前11時、午後2時・3時
※予約不要。
問合せ:国分郷土館
【電話】46-1562