文化 町誌編さん室の島のむんがたり

■阪神・淡路大震災から30年
○未曾有の大震災
今から30年前の平成7年(1995年)1月17日、兵庫県淡路島の北東約3キロを震源とするマグニチュード7・3の大地震が発生。最大震度は7。死者は6436人、負傷者は4万人を超える未曾有の大震災(※写真1)となり、奄美群島出身者も146人が犠牲になりました。震災発生後の2月末時点で徳之島町が把握した本町出身者の死者数は28人、被災した世帯数は632世帯でした。
※写真は本紙をご覧ください。

○災害ユートピアとユイワク
阪神・淡路大震災の際、「災害ユートピア」という言葉が注目されました。これは、「地震、爆撃、大嵐などの直後には緊迫した状況の中で誰もが利他的になり、自身や身内のみならず隣人や見も知らぬ人々に対してさえ、まず思いやりを示す」(『災害ユートピア』)という「理想郷」のようなコミュニティの出現を指します。例えば、徳之島町出身者には、震災の4日後、自家用車に大量の水や物資を積み、避難所に届けた方、営んでいた理容業を続けることができなくなったため、避難所で理髪ボランティアを行ない、被災者から喜ばれた方もいました。徳之島をはじめ奄美群島出身者は、ユイワクと呼ばれる互助の力で極限状況を乗り越えようとしてきました(久岡学氏)。

○震災30年を未来につなぐ
神戸市は「震災30年を未来につなぐ」をコンセプトに様々な施策を展開しています。翻って、徳之島町に起きた災害の歴史はどのように継承されているでしょうか。その一つに、自然災害伝承碑があります。これは、過去の災害の様相や被害状況などを記した石碑などです。手々集落には、大正5年旧10月2日に建てられた「大洪水記念」と刻まれた石碑(※写真2)があります。このときの被害状況などの詳細は伝承されていないことから、過去の災害を現在に伝える貴重な歴史遺産だと言えます。
※写真は本紙をご覧ください。

町誌編纂室 竹原 祐樹

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