文化 町誌編さん室の島のむんがたり

■暮らしのなかの戦争
○戦後80年
アジア太平洋戦争が終結して今年で80年。直接の「戦場」を体験した方々が少なくなる中、「戦争の記憶」をどのように継承していくのか、あらためて問われる機会となっています。

○戦争をどう捉えるか
8月下旬から約1か月、町誌編さん室では企画展「暮らしのなかの戦争」を開催しました。これまでの徳之島における戦争特集は、軍事史を中心に語られてきました。本企画展ではそれを踏まえつつも、視点を変え、当時の暮らしのなかに戦争がどのように現れたか?という問いを立てました。

○われんきゃと戦争
平成30年度から始まった町誌編さん事業では、各小中学校が所蔵する歴史的資料の調査をさせていただきました。そのなかに、戦前・戦中の学校の様子を撮影した貴重な写真も確認できました。「写真1」は、昭和6年(1931年)の花徳小学校の様子です。現在の学校校庭には見られないものとして、「奉安殿(ほうあんでん)」があります。奉安殿には、「御真影(ごしんえい)」と呼ばれた天皇皇后の肖像写真や教育勅語(ちょくご)(国民教育の基本方針を天皇のお言葉として示したもの)謄本が収められていました。
「写真2」は、昭和18年に記された手々国民学校の「日常の躾(しつけ)」(部分)です。この内容の(赤枠部分)にあるように、子どもたちには奉安殿に「最敬礼」することが求められていました。日常を意識的にとらえることは思いのほか難しく、学校に配された奉安殿などの「装置」は、子どもたちの身体を有事に備えさせていく、そのような役割をもったのではないでしょうか。一方、子どもたち自身はどのような思いをもっていたのか、その「声」を聴きとることが次の課題です。

(町誌編さん室 竹原 祐樹)

※各写真は本紙をご覧ください。

問合せ:郷土資料館
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