しごと 《特集》住みよい江別、楽しい江別、もっとよくできる江別。(2)

■江別の文化を創る
Person.2 株式会社プリオンデ 代表取締役 デザイナー
山崎啓太郎(やまざきけいたろう)さん
市内に事務所を構えるデザイン会社で、市内のさまざまなデザインを手がけています。DJとしての一面も持っており、イベントや市内のバーにDJとして出没することもあります。(一社)えべつ観光協会の副会長を務め、イベント開催などもしています。

●チャレンジする余白がある。江別こそ、チャンスがたくさんある
▽江別は「自分色」に染められる
株式会社プリオンデは、札幌にあった会社で、私が代表取締役になった時に、事務所を江別に移しました。
私は札幌学院大学出身で、江別にゆかりがあったこともあり、江別に家を建てて、札幌から移住してきました。
市内のカフェなどで仕事をしているうちに、店員さんと仲良くなり、そこから交友関係が広がり、どんどんデザイン制作の依頼が増え、気付けば私が作ったデザインを市内でよく見かけるようになりました。
実は、「江別でイベントなどをするときは、仕事の前に友だちから始まる」ことが多いです。「江別を良くしたい」という思いを持った大人たちがカフェやバーでこんなことをしたいと話し、後日また集まって実現に向けて一緒に行動する、ということがよくあります。DJイベントもこういう流れから始まりました。
ただ、寂しく感じるのは、大学が多いのに、若者とはあまりそういう場で出会う機会がないことです。
江別市は「余白のあるまち」だと思います。住むには十分便利かもしれませんが、江別でライブやアート活動などを楽しめる場所は決して多くありません。そういう意味では、まだ特定の文化に染まっていないと私は思っています。
余白があるということは、自分で新しい色を塗れる、チャレンジができると言えます。

▽自分の力で誇れるまちに
江別は、新しいチャレンジができる環境が整っていると思います。例えば、イベントなども、今までやってきた土壌がありますし、声をかけたら手伝ってくれる人もたくさんいます。つながりがほしい時は、カフェやバーに行って、カウンターで隣の人に話しかけてみてください。気付いたらどんどん輪が広がって、その人といろいろな挑戦をしているかもしれません。
もちろん、ベッドタウンとして江別はとても優れていますが、もっと江別を好きになれるように、自分の手で、自分色に江別を染めていけたら、自分が住むまちに誇りが持てて、最高だと思います。

▽私がデザインしました!
・ノースアイランドビールロゴ
・江別市子どもが主役のまち宣言ロゴ
・旧町村農場内カフェ SaLooN Machimura ロゴ

▽私のおすすめスポット
・街の灯台 喫茶ファロ(野幌町36-12)
レコードや本などの文化が交わり、自然と会話が生まれます。よくココで仕事をしています。

■江別に「呼び込む」
Person.3 株式会社拓北(たくほく)専務取締役
長瀨祥治(ながせしょうじ)さん
祖父母の代から引き継いだ学生寮を経営する三代目の経営者です。海外のレストランで働いていた経験や「若い頃からおいしいものを食べることは大切」という考えから、寮では手間を惜しまない食事を提供しています。同じ建物内に「カフェandバー大麻」を開店し、2周年を迎えました。

●「江別だから」よりも「かっこいいこと」をし続ける
▽江別の学生を支える寮
祖父母が始めた拓北寮を父母が引き継ぎ、私で三代目になります。私は京都の大学に通った後、東京、オーストラリアで働いていましたが、母からの連絡を受け、江別に戻ってきました。
一度きりしかない学生時代に彩りを添えられるよう、住環境や食事の面から学生を支えています。拓北寮では、寮内にジム室を作ったり、寮生が楽しめるイベントの場を設けたりしています。
そのなかでも、一番こだわっているのは「食事」です。毎日の食事は、一食たりとも無駄にしてほしくありません。栄養をしっかり摂るには、おいしく食べてもらうことが大切です。そのために、味付けや見た目に工夫を凝らし、市内の芝木農園さんが育てた新鮮でおいしい野菜を使って、自然と箸が進む食事作りを心がけています。
また、寮で子どもが何を食べているのか親御さんも気になると思います。そこでSNSで調理風景を発信することにしました。すると、どんどん動画の視聴回数が増えていき、食に関心のある人が多いことを改めて実感しました。

▽社交場としてのカフェandバー
大麻地区は大学が多いにもかかわらず、カフェが少なかったため、カフェandバー大麻をオープンし、10月で2周年を迎えました。メニューは、主に寮の料理を中心に提供し、品数が多いのも特徴です。
カフェができたことで、今まで寮の食堂で開いていたイベントをカフェで開催できるようになり、学生と地域が交流できる場になりました。道内や東京、九州などさまざまな場所に住んでいる人をゲストに呼んでイベントを開催しています。
最近では、苫小牧市にあるお鮨(すし)屋さんを招き、カウンターでお鮨のコースをを振る舞ってもらいました。他にも、全国的に活動しているアーティストやバーテンダーの方をバーに呼んで、ワークショップやライブを開催したところ、多くの方が来店しました。
私たちは学生寮として46年間、地域に根付ざした経営を続けてきました。地域に支えられてきたからこそ、今度は私たちが人を呼び込み、新しい風を吹かせたいと考えています。住む場所は、簡単に変える事ができないため、そこで何ができるかが大切だといつも考えています。「江別だから」「江別の中で」といった固定観念にとらわれず、さまざまな人や文化を積極的に江別に呼び込むことで、新しい出会いや発見が生まれるきっかけになると感じています。この場所を通して、さまざまな人やイベントが集まり、江別の魅力を感じてもらえる場にしていきたいと思っています。