くらし 決算からみる名寄市のすがた(2)

■市債(借金)の状況
令和5年度の市債残高は、昨年度と比較して約3億円減少の約365億円となりました。これは、将来世代に過大な負担を残さず健全な財政運営を持続できるよう、市債を返す以上に借りないという財政規律(ガイドライン)を遵守し、市債発行額の抑制に努めたものです。
市債にはさまざまな種類があり、借入額や返済額に応じて地方交付税が交付される市債があります。令和5年度に一般会計で借り入れた約24億円のうち、約16億円が後年度の地方交付税として、国から交付されることになります。市では、このような市債を最大限活用し、将来的に負担が少なくなるよう事業を行っていますが、市債はあくまで借金であり基金活用とバランスの取れた財政運営が大切だと考えています。今後も将来を見据えた市債や基金の適正な管理に努めます。

■基金(貯金)の状況

基金には財政の健全な運営のための財政調整基金のほか、借金の返済に充てるための減債基金など、特定の目的のための基金があります。
令和5年度の基金残高は、今後の財政運営の備えとして約7億6千万円を積み立てましたが、各基金の目的に沿った事業の財源を補うため基金の取り崩しを行ったことにより、昨年度と比較して約5億5千万円減少の約98億5千万円となりました。

■健全化判断比率

健全化判断比率とは、財政の早期健全化や再生の必要性を判断するための指標です。
本市の令和5年度決算における健全化判断比率は、昨年度より数値が増加した項目はありますが、早期健全化基準(黄色信号)を下回っているため安全圏にあります。
※表内「―」は実質赤字額がないことを示しています。

■経常収支比率
経常収支比率とは、財政の弾力性を示す指標で、比率が高いほど(100%に近づくほど)新たな行政上で対応できる余地が少ないことを示します。経常的経費に、経常一般財源がどれだけ使われているかの比率です。
本市の令和5年度一般会計経常収支比率は、前年度に比べ0.2%減少の96.2%となりましたが、これは退職手当給付負担金の減が主な要因であり、影響は令和5年度に限定されたものです。人件費や物件費の増加などに伴い、本市の財政構造は硬直化が進んでいる状況に変わりはないことから、既存事業や業務内容の見直しなどにより、経常的な経費の抑制に引き続き努めます。

■名寄市の財政 ~まとめ~
令和5年度決算は黒字となりましたが、現状は基金(貯金)を大きく取り崩して事業を実施しており、このままの状況が続けば現在の行政サービスを続けることが難しくなります。市民ニーズに沿った行政サービスを維持しつつ、最小の経費で確実な効果をあげられるよう事業の内容を十分に検討します。
将来にわたって安心して暮らせるまちであり続けるため、持続可能な財政運営に取り組みます。

問い合わせ:財政課財政係(名寄庁舎3階)
【電話】01654(3)2111(内線3331・3332)