- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道富良野市
- 広報紙名 : 広報ふらの 2025年8月号 No.767
■帯状疱疹ワクチン接種が認知症の予防に有効かもしれない
・富良野医師会 角谷(かくや) 不二雄 さん
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症し、つらい痛みや発疹を引き起こします。実はこのウイルスは認知症の発症に関与している可能性が指摘されています。そして、帯状疱疹を予防するワクチンが認知症の予防にも有効かもしれないという報告が今年になって二つありました。
権威ある医学雑誌Natureに4月2日に掲載された論文では、英国のウェールズで帯状疱疹ワクチンが利用可能になった際に接種した高齢者は、接種しなかった高齢者に比べて認知症の発症リスクが20%低いことが示されました。また、やはり権威ある医学雑誌JAMAに4月25日に掲載された論文でも、オーストラリアにおける同様の検討でこのワクチンが認知症の予防に有効であったことが示されました。なお、これら2つの検討に用いられたワクチンはいずれも生ワクチンです。
帯状疱疹ワクチンには生ワクチン、組換えワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。生ワクチンは1回接種、組換えワクチンは2カ月以上の間隔で2回接種です。合併症の一つである、帯状疱疹後神経痛に対するワクチンの効果は、接種後3年時点で、生ワクチンは6割程度、組換えワクチンは9割以上と報告されています。
令和7年4月から帯状疱疹ワクチン予防接種が、定期接種の対象となりました。
対象は、「年度内に65歳となる方」「令和7年度から5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳になる方」等です。費用は、生ワクチンが2,600円、組換えワクチンが1回6,600円です。また、50歳以上の方の任意接種には助成制度もあります。帯状疱疹の予防のみならず、オフターゲット効果として認知症予防もあるかもしれない帯状疱疹ワクチン接種、ぜひお勧めします。