- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道富良野市
- 広報紙名 : 広報ふらの 2025年11月号 No.770
■高血圧治療ガイドラインが改訂されました!
・保健師です
今回は、8月29日に改訂された高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)についてお話いたします。
日本高血圧学会では、脳心血管病および腎臓病などの高血圧合併症の発症予防・進展防止を目指し、高血圧治療ガイドラインを作成しています。今回の改訂では、高血圧の診断基準に変更はありませんが、高齢高血圧患者に対する降圧目標が引き下げられました。
我が国における2017年の高血圧有病者の推計数は4,300万人といわれており、そのうち治療中であるにもかかわらず管理不良(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)の者は1,250万人(約29%)と推計されています(国民健康・栄養調査データより)。また、富良野市でも令和6年度特定健診受診者における高血圧治療中で管理不良の方は30.5%いる状況です。日本のこうした血圧管理状況は主要経済国の中で最低レベルであり、改善が必要です。
以前のガイドラインでは、高齢者(75歳以上)の降圧目標は140/90mmHg未満でしたが、今回の改訂により「年齢・病態・合併症に関わらず130/80mmHg未満」となりました。この降圧目標は120/80mmHg以上の血圧レベルすべての方を対象としており、達成することにより脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管イベントを抑制できることが分かっています。
また、JSH2025で強調されているのは、高値血圧(130~139/80~89mmHg)で脳心血管病の既往や糖尿病を伴わない場合は、生活習慣の改善を強化するとされている点です。血圧値や降圧薬の有無によらず、すべての高血圧患者は生活習慣の改善をすることが治療の基本となります。高血圧は生活習慣病の一つであり、生活習慣の改善により高血圧の予防及び降圧が期待できます。多くの高血圧患者は生活習慣の改善だけでは目標とする降圧を達成することはできませんが、降圧薬の効果を高め薬剤数と用量を減らすことができるので、薬物療法を開始しても生活習慣の改善の重要性は変わりません。
高血圧治療の注意点として、めまい・ふらつき・立ちくらみ・倦怠感・失神などの自覚症状、急性腎障害、高カリウム血症などの電解質異常といった有害事象の発症には注意しながら降圧を進めていく必要があります。高血圧治療中の方で、これらの自覚症状がある場合は主治医に相談して治療内容を検討していきましょう。自己判断による服薬中断はしないようにしてください。
